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12月08日-04号

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  1. 奈良県議会 2022-12-08
    12月08日-04号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 4年 12月 定例会(第352回)令和4年12月         第352回定例奈良県議会会議録 第4号               令和4年12月8日(木曜日)午後1時開議   --------------------------------    出席議員(36名)      1番 小村尚己        3番 植村佳史      4番 浦西敦史        5番 山中益敏      6番 亀甲義明        7番 小林 誠      8番 階戸幸一        9番 川口延良     10番 疋田進一       11番 池田慎久     12番 乾 浩之       13番 大国正博     14番 太田 敦       15番 佐藤光紀     16番 清水 勉       18番 西川 均     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 山本進章       24番 奥山博康     25番 小林照代       26番 山村幸穂     27番 尾崎充典       28番 藤野良次     29番 和田恵治       30番 荻田義雄     31番  欠員        32番  欠員     33番 米田忠則       35番 岩田国夫     36番 小泉米造       37番 今井光子     38番 森山賀文       39番 田尻 匠     40番 粒谷友示       43番 川口正志    欠席議員(5名)      2番 樋口清士       17番 松本宗弘     34番 出口武男       41番 秋本登志嗣     42番 中村 昭   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(岩田国夫) ただいまより当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、4番浦西敦史議員に発言を許します。--4番浦西敦史議員。(拍手) ◆4番(浦西敦史) (登壇)皆様、こんにちは。吉野郡選挙区選出県議会議員、自民党倭の浦西敦史でございます。よろしくお願いいたします。今回で13回目の質問をさせていただきます。この貴重な機会、チャンスをいただきました先輩議員の皆様、本当にありがとうございます。それでは、議長の許可をいただき、1にも吉野、2にも吉野、南部吉野を中心に質問をさせていただきます。 初めに、南部地域における医療人材などの確保について、医療政策局長にお伺いします。 県の南部地域では、人口減少、高齢化が急速に進んでおり、特に急峻な地形が占める広大な山間地域において、高齢者の方々が安心して住み続けるためには、救急医療体制の強化などをさらに進める必要があると考えています。 こうした中、南和広域医療企業団では、「南和の医療は南和で守る」を基本理念に、南奈良総合医療センターを中心に、医療提供体制の充実に努めていただいています。 令和4年度に実施された、県民アンケート調査での県の取組、県内での改善状況における調査結果では、医療体制の強化という項目を地域別に見ますと、南部地域において特に評価が高く、南部地域の南東部ではプラス0.16ポイント、南西部でもプラス0.21ポイント、県全体でのポイントを上回るという結果となっています。これは、南和広域医療企業団の設立による広域医療提供体制の再編整備や、ドクターヘリの活用など救急搬送体制強化の取組による成果が評価されているのだと思います。 また、特に高齢化が進む南部地域においては、住民の方々の健やかな暮らしを支えるためには、常日頃から住民に接し、その生活背景も熟知して、地域医療や保健・健康活動を担う医師や看護師、役場の保健師といった人材が必要不可欠であると考えます。 しかしながら、村など小規模な団体においては、診療所や役場に勤務する看護師や保健師の採用がなかなか進まず、また、そうした職種では、介護休暇や育休・産休等の長期休暇を取得する際に、代わりの人員を確保し、配置するのに大変苦慮しているという声を聞いており、こうした専門人材の確保・育成は喫緊の課題であると感じています。 そこで、医療政策局長にお伺いします。 過疎・高齢化が進展する南部地域において、地域の方々が安心して健やかに暮らすためには、地域医療や保健・健康活動を担う医師、看護師、保健師など専門人材の確保・育成が重要と考えますが、市町村に対する支援を含め、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。 次に、国内外からの誘客促進について、観光局長にお伺いします。 新型コロナウイルス感染症感染拡大により、本県経済にとって大変重要な観光産業は、長期にわたり感染状況に左右され続け、厳しい状況に置かれました。 そのような中ではありましたが、観光産業にとって、コロナ禍は危機であると同時に、新しい旅のスタイルへの転機でもありました。観光に対する人々の興味や関心は変化し、これまでの観光地だけではなく、密を避けた旅行、例えばアウトドアなどへの関心が高まったことで、自然豊かな県南部・東部地域に目が向けられ、それぞれの地域の魅力を新たに知っていただく、あるいは改めて感じていただく機会となりました。 奈良県中小企業団体中央会が発表した9月の県内中小企業景況によりますと、旅館・ホテルの売上高は前月対比約200%、2019年同月対比で85%と、奈良県が全国に先駆けて7月から始めた「いまなら。キャンペーン2022プラス」の効果は大変大きく、回復の大きな後押しとなっています。 普段は、県北部にしか行かない県外に住む友人が、「いまなら。キャンペーン」を利用して県南部の温泉宿に泊まったそうです。緑あふれる周囲の景色に癒され、料理もおいしく、クーポン券でお土産も買えて申し分なかったと、非常に満足した様子でした。 キャンペーンを機に、旅行された方々に心に残る体験をしてもらうことで、再び訪れたいと真っ先に思いつくような地域になれるよう、地元の事業者はお客様の受け入れに一層取り組んでいます。キャンペーンの効果に地域の取組が加わることで、今後、県内の観光業が再活性化し、元気を取り戻してほしいと願っています。 そこで、観光局長にお伺いします。 「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施状況と、さらなる県南部・東部地域への誘客促進に、どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 続いて、今後のインバウンド誘客の促進について、お伺いします。 新型コロナウイルス感染症感染拡大により、長らく外国人観光客の受け入れが制限され、インバウンド需要によって活性化しつつあった地域経済に大きなダメージを与えました。本県も例外ではなく、令和元年には約350万人の外国人観光客の来県がありましたが、コロナ禍においては観光目的の入国ができなかったため、一時ほぼゼロまで落ち込みました。今年に入り、世界的な社会経済活動の再開の動きを受け、我が国においても、この10月に外国人観光客の受入れに係る水際対策が緩和され、本格的にインバウンドが再開されました。10月以降、奈良公園周辺でも外国人観光客の姿を見かけるようになり、コロナ禍前のにぎやかな雰囲気を思い出すとともに、今後のインバウンドへの期待の高まりを感じているところです。このような中、インバウンドの誘致活動が活性化しており、本県においても積極的に取り組んでいただき、地域経済の回復につなげていくべきと考えます。 岸田内閣総理大臣は、10月3日に行った臨時国会の所信表明演説で、円安のメリットを最大限に引き出すとし、年間5兆円を超えるインバウンド消費額達成を目指す考えを示しています。これは、3,000万人以上の訪日客が訪れていた2019年の外国人旅行者の消費額、4兆8,000億円を上回る額です。奈良県観光総合戦略においても、成果指標として本県の訪日外国人旅行者数を、2025年度に450万人に増やすことを挙げています。この目標達成に向け、感染状況も踏まえつつ、海外に向けて効果的、効率的なプロモーションを展開する必要があると考えます。 そこで、観光局長にお伺いします。 アフターコロナ時代を見据え、本県へのインバウンド誘客促進に、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。 続けて、南部・東部地域観光振興について、観光局長にお伺いします。 先月の11月13日、三重県において紀伊半島知事会議が開催されました。紀伊半島知事会議は、奈良県、三重県、和歌山県の3県知事が一堂に会し、紀伊半島振興の共通課題について討議し、紀伊半島の振興と活性化を図るため、施策の一体的かつ総合的な展開を図ることを目的とし、昭和56年度から開催されており、今年の開催で32回目を迎えたと聞いております。 先日の会議では、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年に向けた観光振興、公共事業における木材利用の推進、鉄道の維持・活性化の3項目について意見交換をされ、3県で協力して取り組んでいくとともに、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年に向け、観光連携に関する共同宣言を締結されたと聞いております。 そこで、観光局長にお伺いします。 紀伊半島3県の観光振興について、これまでの取組と、今後どのような方針で取り組むのか、お聞かせください。 続けて、南部・東部地域への観光プロモーションについて、お伺いします。 2025年大阪・関西万博の開幕まで2年余りとなり、パビリオンの建設など準備が本格的に進んできています。20年ぶりに日本で開催される万博であり、多くの観光客が訪れることが予想されます。これらの観光客を本県に誘客することは、新しい観光客の発掘、観光需要の回復につながる絶好の機会になるのではと期待しています。特に県南部・東部地域は大阪からも近く、豊かな自然景観、温泉、現在まで受け継がれてきた歴史、文化、伝統が残っており、訪れていただいた方々に満足していただける地域であります。令和4年4月に施行された「奈良県美しい南部・東部地域を県と市町村が協働して振興を図る条例」においても、産業の振興、雇用の創出は基本的な施策の1つとされており、南部・東部地域の振興にとって観光産業は重要な柱であると考えています。 大阪・関西万博をきっかけに、多くの観光客に足を運んでいただけるよう、プロモーションにしっかりと取り組んでいただきたいと考えます。 そこで、観光局長にお伺いします。 大阪・関西万博を見据え、県の南部・東部地域観光プロモーションにどのように取り組んでいくのかお伺いします。 次に、南部・東部地域の活性化に向けた食の振興について、食と農の振興部長にお伺いします。今年10月に旅行会社が行った調査によりますと、7割以上の方々が「その土地の名物や食事を目的に旅先を決めることがある」と回答しているように、多くの旅行者が旅先の食に高い期待を抱いており、食は観光の付加価値を高める重要な要素であります。多くの方々に奈良を訪れていただくためには、奈良のおいしい食の魅力を発信することが重要であると考えます。 私の地元である五條吉野地域では、全国第2位の生産量を誇る柿や、みずみずしく甘みのある梨などの魅力ある食材や、柿の葉寿司、吉野本葛などの長い歴史を持つ食文化の宝庫です。加えて近年、天川村では、夏イチゴの栽培やふぐの陸上養殖など、新しい視点での取組が行われ、新たな地域の魅力になることも大いに期待しているところです。また、食は農産物の生産のみならず、器や箸などの木製食器、五穀豊穣につながる伝統行事である祭事などにも広くつながっているものと考えています。来る12日からは、本県でガストロノミーツーリズム世界フォーラムが開催されます。このガストロノミーツーリズムは、その土地の気候風土が生んだ食材、習慣、伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズムのことです。誰もが知る名産や名物だけではなく、地元の人しか知らない食や食文化を楽しめるのも魅力の一つです。 私は、このガストロノミーツーリズム世界フォーラムが、食に関して豊富な資源を有する南部・東部地域の食を通じた観光振興、地域の活性化につながるのではないかと大いに期待しているところです。 そこで、食と農の振興部長にお伺いします。 南部・東部地域の活性化に向け、県産農畜水産物を生かした、おいしい食の魅力発信などにより、食の振興を図ることが重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 最後に、警察本部長に、交番・駐在所の最適化についてお伺いします。 県警察では、令和3年2月に、奈良県警察交番駐在所最適化指針を発表され、同指針に基づいて交番・駐在所の最適化を進められていると承知しています。私の地元、下市町においても、今年度、駐在所が統合され、建替えが行われていると伺っており、新しい駐在所が引き続き、地域の安全と安心のよりどころとなることを期待しているところであります。 その一方で、老朽化が進んでいる施設もあり、最適化をより加速させられないものかと思うところであります。吉野町にあります竜門駐在所宮滝駐在所については、老朽化が激しく進んでおり、既に統廃合後、移転箇所のめどもついていると伺っておりますが、そのような場合は、早期に計画を進めていただくようお願いしたいと思います。 また、県民の方々にとって、治安は生活の基盤であり、それを守る交番・駐在所の存在は非常に心強いものです。そのため、統廃合により駐在所の配置が変わる山間の地域では、一部で不安の声も聞かれます。こうした声には丁寧に対応していただきたいと思います。地域の住民にとって、交番・駐在所は、そこにあるというだけで非常に心強い存在でありますし、災害等が起これば防災拠点としても活用される施設であると認識しています。 そこで、警察本部長にお伺いします。 地域における治安の維持・向上を図るため、交番・駐在所の更新、統廃合などによる適切な人員・施設配置を早期に実現すべきであると考えますが、現在の進捗状況や今後の見通しについて、お答え願います。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 大澤医療政策局次長。 ◎医療政策局次長(大澤和重) (登壇)4番浦西議員より、医療政策局長に対しまして、南部地域における医療人材等の確保について、県はどのように取り組んでいるのかというご質問をいただきました。お答えいたします。 浦西議員お述べの南部地域をはじめとする山間地域では、過疎化や高齢化が進む中、医療機関が少ないため、主に市立、村立のへき地診療所の医師が地域医療の提供を行ってきました。このへき地診療所の医師については、市や村での確保が困難なことから、自治医科大学の卒業医師を県が派遣してきました。また、へき地医療機関や、医師が不足する産科等の診療科に勤務する医師をあっせん・紹介する奈良県ドクターバンク事業により医師の確保に努めてまいりました。この結果、現在、県内の16のへき地診療所に、自治医科大学の卒業医師が8名、ドクターバンク事業で確保した医師4名が勤務しています。 このほか、県では、へき地医療機関や医師が不足する産科等の診療科に勤務する医師の養成を図るため、奈良県緊急医師確保修学資金制度を用意しており、その貸与を受けた医師の中からへき地での勤務を希望する者を派遣してまいりました。 次に、医師とともに、地域医療を担う看護師や、住民の保健・健康活動を担う保健師については、主に市町村が育成・確保を行ってきました。しかし、これらの地域では、人口減少が進む中、市町村が単独で看護師や保健師の育成・確保を行うことは困難となっています。そこで、県においては、看護師や保健師の職業紹介であるナースセンター事業を看護協会に委託して実施してきました。また、南部地域においては、南和広域医療企業団により、へき地診療所の看護師が育児休業等の長期休暇を取得した場合や、急な退職時にへき地支援ナースの派遣も行われているところです。 今年度、「奈良県美しい南部・東部地域を県と市町村が協働して振興を図る条例」の施行に伴い、9月に県と市町村との協議の場が設けられました。その中で、看護師や保健師の人材育成・確保の実行策について、医療政策局も加わり議論を始めています。引き続き、南部をはじめとする山間地域の看護師や保健師の育成・確保について、市町村や南和広域医療企業団等と連携し、検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 平田観光局長。 ◎観光局長平田千江子) (登壇)4番浦西議員から、私へは4点ご質問をいただきました。順次答えいたします。 まず、国内外からの誘客促進について、「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施状況と、南部・東部地域への誘客促進の取組についてのご質問にお答えいたします。 「いまなら。キャンペーン2022プラス」は、感染拡大防止地域経済の維持の両立を念頭に、7月から全国を対象として実施しています。開始後4か月間で、約40万人という多くの方々にご利用いただいており、宿泊者に配布した地域クーポンも、土産物店や飲食店等で幅広くご利用いただいているところです。県南部・東部地域での利用も、現時点で5万人を超え、2月末までに、さらに3万人近くの予約をいただいております。キャンペーンを機に、今後も多くの方々に訪れていただくためには、旅での満足感や感動が口コミで広がることも重要だと考え、宿や食、風景など、地域ならではの魅力をSNSで投稿し、ご紹介いただく試みも実施しています。今後も、宿泊・旅行事業者と連携し、県南部・東部地域をはじめとした県内全域の奥深い魅力を体感できるツアーを造成するなど、効果的な誘客促進に一層取り組んでまいります。 次に、同じく国内外からの誘客促進について、アフターコロナ時代を見据えたインバウンド誘客促進の取組のご質問にお答えいたします。 県では、コロナ禍外国人観光客の受入れが制限された時期から、インバウンド再開後を見据え、SNSによる情報発信海外メディアへの情報提供などに取り組み、コロナ後の来訪意欲の喚起に努めてきたところです。今年10月に国の水際対策が緩和され、インバウンドが徐々に回復してきていることから、「ここにしかない魅力であふれる観光地・奈良」を発信し、誘客促進に取り組む必要があると考えています。 そこで、これまでからの取組を一層強化し、継続していくとともに、世界的に注目が集まる2025年大阪・関西万博を見据え、奈良の奥深い魅力や、食と観光をかけ合わせたガストロノミーツーリズム、豊かな歴史と自然に囲まれた宿での滞在などの奈良らしい体験を万博前から積極的に発信するなど、効果的なプロモーションに取り組んでまいります。 次に、南部・東部地域観光振興についてご質問がありました。まず、紀伊半島3県の観光連携の取組と今後の方針についてお答えいたします。 紀伊半島3県の観光連携については、平成21年度の紀伊半島知事会議において、紀伊半島の豊かな歴史・文化・自然資源を活用し、広域的に連携しながら観光振興を図るため、3県の地域を「吉野・高野・熊野の国」として建国することが合意され、翌年から3県で実行委員会を設置し、共同事業として取り組んでいるところです。 共同事業として、これまで3県周遊スタンプラリー宿泊キャンペーン等を実施してまいりました。今年度は、雑誌掲載やフォトコンテストによる情報発信事業にも取り組んでいるところです。また、先月開催された紀伊半島知事会議においては、令和6年度に紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年を契機とした記念シンポジウムを来訪者の多い首都圏で開催することも合意されました。 引き続き3県が連携し、世界遺産の価値を高める取組や、海外向けのホームページの充実を含む積極的な情報発信など、観光地としての紀伊半島の魅力や来訪者の満足度を高めるための取組を実施してまいります。 次に、同じく南部・東部地域観光振興について、大阪・関西万博を見据えた南部・東部地域観光プロモーションの取組についてお答えいたします。 2025年大阪・関西万博は、世界中から関西に注目が集まることから、本県の多様な魅力を国内外に発信し、誘客につなげる絶好の機会と考えています。特に、本県の南部・東部地域は、紀伊山地の豊かな自然景観、紀伊山地の霊場と参詣道をはじめとする先人から受け継いだ歴史文化や町並み、大和野菜や川魚、ジビエ等のおいしい食、温泉など、豊富な観光資源に恵まれています。これらの強みに加えて、歴史文化と食をかけ合わせたガストロノミーツーリズムや、ゆっくりと過ごしていただく宿泊などを新しい魅力として発信したいと考えています。 このような南部・東部地域の価値を多くの方に知っていただき、この地域に実際に足を運び、宿泊していただけるよう、大阪・関西万博には、奈良に泊まって行くを基本戦略に、万博開催前から旅行博への出展やSNSでの発信などのプロモーションに積極的に取り組んでまいります。私からは以上です。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 乾食と農の振興部長。 ◎食と農の振興部長(乾新弥) (登壇)4番浦西議員より、私に対しまして、南部・東部地域における食の振興について、県はどのように取り組んでいるのかとのご質問がございました。お答えいたします。 県では、食の魅力を生かした地域振興を推進するため、食の魅力の向上と、その魅力を生かした誘客の促進に取り組んでいます。浦西議員お述べのとおり、本県の南部・東部地域は、全国有数の産地である柿や、地域独自の伝統的な農産物など、食材の宝庫であることから、様々な取組が可能な地域です。 まず、食の魅力の向上では、柿や梨など、外見、品質ともに優れた産品を奈良県プレミアムセレクトとして認証し、首都圏でプロモーションを行うなど、ブランド化に取り組んでおります。また、地域で受け継がれてきた下北春まなや宇陀金ごぼう、大和いもなどを大和野菜としてブランド化するとともに、イノシシやシカ料理をならジビエとしてPRしております。 また、食の魅力を生かした誘客の促進としては、地元の食材をゆっくり味わえる宿泊機能を備えたレストラン7軒を、ならのオーベルジュとして情報発信しております。さらに、なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)の卒業生が、早くも南部・東部地域の5市町村で、レストラン、カフェ、オーベルジュを開設されており、そのこだわりや魅力などを冊子やホームページ、SNSなどで紹介しております。 来週に迫りましたガストロノミーツーリズム世界フォーラムを一つの契機として、また、今年9月にオープンしたNAFIC附属セミナーハウスも十分に活用しながら、今後も南部・東部地域の食の魅力発信、食の振興による地域の活性化につなげてまいります。以上でございます。ご質問、ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 安枝警察本部長。 ◎警察本部長(安枝亮) (登壇)4番浦西議員から、私には、交番・駐在所の最適化についてご質問いただきました。お答え申し上げます。 県警察では、社会や治安の情勢変化に適切に対応しながら、治安の維持・向上を図るため、昨年2月に奈良県警察交番駐在所最適化指針を策定し、交番等の施設や勤務員など限られた警察力の適正な配置を進めているところでございます。 本指針では、策定時に県下に176施設あった交番・駐在所について、新設・統合・更新等による最適化を図り、令和7年度末をめどに134施設とする計画としております。この計画に基づいて、昨年度は163施設まで最適化を図り、今年度は5施設の新設・建て替えを含む155施設とする予定でございます。 なお、浦西議員お述べのとおり、最適化により交番等の配置状況が変化する地域の方から不安の声も聞かれていることは承知しております。この点について、管轄区域や配置人員等の見直しはもとより、自動車警ら隊による機動力を生かした広域的な警ら活動に加え、交番機能と機動力を兼ね備えた車両である、動く交番の導入を進めるなどによりまして、地域の方々の不安感の解消を図りつつ、治安の維持・向上に努めてまいります。 また、現在は耐震性能に問題がある施設の解消を先行して最適化を進めておりますけれども、老朽化が著しい施設についても、現況を適切に把握した上で、計画的に整備を進めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 4番浦西敦史議員。 ◆4番(浦西敦史) ご答弁ありがとうございました。 答弁の中でも答えていただいた、南和地域の医療人材の確保についてですが、看護師、保健師などは市町村が主体となってやるべきであるのですが、南部地域にとっては、やはり人材が不足している。人口減少、これがますます、少子高齢化も進み、人材の確保が厳しくなってくると思いますので、何とぞ、県においては引き続き市町村のサポートをお願いしたいと思います。 そして、国内外からの観光誘客促進、また、南部・東部地域観光振興についてですが、これまで本当にいろいろと取り組んでいただいて、「いまなら。キャンペーン」は非常に喜んでいただいております。これを契機として、また、次の紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年や、また大阪・関西万博なども、全部ひっくるめてではないですが、吉野の、南部・東部地域の観光促進に寄与していただければと思います。引き続きよろしくお願いしたいのと、食の振興についてでもありますが、このことについても観光と関わってくると思います。それも連携を取りながら発信していただきたいと思います。 最後に、交番・駐在所の最適化についてでありますが、やはり県民の皆様方の不安の声があるというのを感じていただいているのをしっかりと聞いていただいて、不安の解消に取り組んでいただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 次に、19番阪口保議員に発言を許します。--19番阪口保議員。(拍手) ◆19番(阪口保) (登壇)生駒市選挙区選出、無所属の阪口保でございます。早速質問に入ります。 まず最初は、県内公共交通の維持・充実についての質問です。この事案については、本年9月議会の予算審査特別委員会でも質問しています。質問の内容は、奈良交通株式会社から、生駒市の5つの路線を再編、減便、廃止する提案があり、特に生駒ニュータウン線の路線の再編については、公共交通を利用する沿線住民の意見を反映していないと申し上げました。知事からは、奈良交通株式会社と市が対話をしてくれれば、県も応援するとの答弁がございました。その予算審査特別委員会の質疑後の11月10日、奈良交通株式会社乗合事業部統括部長等3名の方と面談をさせていただいたところ、提示されたバス路線案は、生駒ニュータウン線の再編案を撤回し、おおむね沿線住民の意見を反映するものでした。私のもとへは、多数の方から生駒ニュータウン線の存続の要望が来ておりましたので、11月23日に、沿線住民のあすか野地区の方への報告会を開催し、予算審査特別委員会の質疑内容、奈良交通株式会社が提示したバス路線案を説明しました。報告会には、雨にもかかわらず多数の住民の参加があり、バス路線の在り方は生活に深く関わるものであり、非常に関心が高いと改めて思います。 生駒市に住むようになって約30年たちますが、当時から振り返りますと、大阪のベッドタウンとして発展してきた県内のバスや鉄道をはじめとする公共交通は、人口減少や少子高齢化の進展、コロナ禍に伴う働き方や生活様式の変化など、今後、通勤・通学者をはじめとする利用者の減少が見込まれます。これまでのように、事業者の経営努力や行政からの補助金を頼りにするのではなく、あすか野地区のように、住民が公共交通に関心を持ち、バス路線を維持するために、自分のこととして考え、公共交通を利用する動きが高まっていってくれればと願っています。こうした公共交通を取り巻く厳しい環境の中、県では、今年3月に奈良県公共交通基本計画を改正し、地域がより主体的に公共交通を維持・充実する取組に参画することを基本理念に掲げ、様々な推進施策を実施していくこととされています。 そこで、知事に伺います。 大阪のベッドタウンとして発展してきた本県ですが、人口減少や少子高齢化が進む中、今後、公共交通による人の移動がより困難な状況になると予想され、県内の公共交通の維持・充実に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。 2つ目は、太陽光発電設備の設置規制の条例の制定についての要望です。 県議会の定例会において、これまで2度、条例の制定を求めています。6月の代表質問で、メガソーラーについては、山林等に設置することで自然の景観が損なわれたり、土砂崩れ等の自然災害につながることがあります。また、地域住民とのトラブルが増えており、実効性の高い設置規制が早急に必要と申し上げ、条例の進捗状況をお伺いしました。 この質問に対し、知事は、年度内に条例の制定をすべく、県議会への上程を目指すと答弁されています。前回と予算審査特別委員会等で条例の進捗状況を伺っていますので、本日は、来年2月議会に条例案が提出されるよう要望しておきます。 3つ目は、太陽光発電事業終了後の太陽光発電パネル等の適正処分についての質問です。 県では、太陽光発電施設設置規制条例の年度内制定を目指していますが、役割を終えた太陽光発電パネルや施設等の廃棄に不安な点があります。 1点目は、太陽光発電パネルの製品寿命は25年~30年と言われており、発電事業中に施設が転売されて事業主体が交代した場合、事業終了時に太陽光発電パネルや施設等が責任を持って処分されるのかという危惧でございます。 2点目は、太陽光発電パネルには、パネルの種類によっても異なりますが、カドミウム、セレン等の有害物資を含むものもあると言われています。固定価格買取制度により、急速に拡大した太陽光発電施設が寿命を迎える2040年頃には、これらの太陽光発電パネルが大量のごみとなって出てくると予想され、適切な廃棄がなされるかという危惧でございます。 そこで、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 耐用年数を経過した太陽光発電パネルの大量廃棄の時期を迎えるにあたり、県として太陽光発電パネル等の適正処分について、どのように考えているのか、お伺いします。 4つ目は、生駒市の辻町インターチェンジの進捗状況についての質問です。 生駒市の辻町インターチェンジの整備については、平成26年度に質問をし、今回で6回目の質問となります。この事業は奈良県の事業であり、既に事業化されておりますし、国道168号と阪奈道路の連結部である奈良方面のランプを整備することで、奈良方面の所要時間の短縮と生駒市内の交通渋滞の緩和につながることから、さらに、生駒市と連携して精力的に事業促進に向けて尽力していただきたいと思います。 当時の県土マネジメント部長は、事業化して、計画を固めて、用地買収を行い、工事も見えた段階で、開通時期について示させていただいていると答弁されました。また、清水県土マネジメント部長は、今年7月に赴任されましたが、当県における辻町インターチェンジに係るこれまでの経緯や整備の重要性をしっかり認識して取り組んでいただきたいと思います。以上を踏まえ、県土マネジメント部長に、辻町インターチェンジの現在の取組状況についてお伺いします。 5つ目の質問は、令和3年度、一般国道168号十津川村高津法面対策工事についての質問です。この工事の発注者は奈良県五條土木事務所で、工事場所が吉野郡十津川村高津です。締結した契約は随意契約で行っており、工事金額は2,560万5,800円です。本来、県において契約者を決めるときは一般競争入札を原則とし、それ以外の方法は例外的なものと位置づけています。一般競争入札を行うことで競争性を確保し、工事金額が高くならないようにしているものでございます。 本県は、随意契約をするにあたり、随意契約の締結に関する取扱基準において、この取扱基準につきましては、議員、傍聴者の皆様にはお渡しさせていただいております。適用するための地方自治法施行令各号の該当事例を定めています。県は、この工事を随意契約した理由について、1点目が、本件工事は、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」の該当事例の(オ)「特定の土地・施設等を所有若しくは管理している者又は所有若しくは管理している者が契約の当事者を特定し県が契約の相手方を選定できる余地がない者と契約する場合」に当てはまるとしています。 こちらの画像が、工事場所の工事前の画像でございます。五條土木事務所の説明では、排土が必要な範囲は県有地と民地にまたがっており、排土を行うにあたり、民地内より重機等進入し、県有地と民地を同時に道路縦断方向に切り下げていく必要があるとのことでございます。排土とは、不要な土砂を取り除くという土木用語でございます。簡潔に申しますと、左側が県有地で、右側が民地に当たり、右側の民地が業者の所有地であったので、その業者に随意契約をしたことになります。 2点目は、地方自治法施行令第167条の2第1項第5号「緊急の必要により競争入札に付することができないとき」の該当事例(ウ)「堤防崩壊、道路陥没、地すべり等の対応やその未然防止のための応急工事又はこれに関連する業務」に当てはまるとしています。五條土木事務所指名審査会説明資料では、緊急法面踏査の結果、崩壊面には不安定化した落ち残り岩塊が分布している状態であり、落ち残り岩塊が崩落した場合、不安定な形状となる尾根土塊が道路側に崩落する恐れがあることが判明したとあります。岩塊とは岩の塊、土塊とは土の塊のことでございます。この2つの該当事例に当てはまることを、随意契約をした根拠としています。 しかし、こちらの画像から見まして、土砂により道路を塞いでいるとか、今日、明日にでも不安定な形状となる尾根土塊が道路側に崩落するとは考えられません。緊急の必要による該当事例(ウ)を拡大解釈し、適用しているのにすぎず、一般競争入札に該当する工事でございます。 次に、工事箇所が県有地と民地にまたがるので、該当事例(オ)を適用し、民地の業者に随意契約をしたことについてでございます。私が令和4年9月21日、奈良地方法務局で全部事項証明書を取り寄せますと、記載事項には、工事箇所の地番である十津川村大字高津603番地は、県有地ではなく、工事をした業者の所有地となっていました。全部事項証明書には県有地の記載がありませんので、該当事例(オ)の適用ができず、随意契約はできないものとなります。さらに調査をすると、平成6年の道路改良工事において、請け負った業者から高津603番地の680平方メートルを350万410円で土地売買及び補償に関する契約書を締結している事実が分かりました。公金を使い、所有権を移転しなかったことについては大きな問題で、県の公有財産を放置した責任があります。 本件工事において、約30年前の土地売買及び補償に関する契約書があっても契約が履行されず、全部事項証明書に県有地の記載がありません。登記上は民有地に県の税金を使い工事をしたことになります。また、県の随意契約の締結に関する取扱基準には、このような事案について、随意契約の該当事例が適用されるとの記載がありません。この事案は、一般競争入札に付することが必要であり、2つの該当事例を根拠に、随意契約の方法による契約の締結は違法であると言えます。 こちらは、本年9月20日、十津川に現地調査をしたときの画像でございます。そこで、2つほど疑問なところがあります。1つは、画像から見ると、コンクリート吹きつけ工事においては、左側の国道と反対側をしているように写り、また、法面対策工事では民地側を大きく排土したことにより、国道側の法面が不安定になり、崩落の危険性が残っているように見えます。また、私が視察したときには、ショベルカーで裾野の土を取って、ダンプカーに積んでいました。このような作業をすると、民有地側の山の裾野が変化し、山の形がさらに不安定になり、石等が落下しやすくなるのではないかと思います。両方の画像を比較していただくと、この辺りが、裾野が変化していると思います。 ところで、本県では請負契約等の適正化を図るために、「わかりやすい会計事務」の作成、出納員への研修等を実施し、奈良県会計規則の徹底を図っていると伺っています。 また、奈良県監査委員の指摘事項についても少し触れておきます。五條土木事務所へは、令和4年1月12日に監査を実施し、支出負担行為及び契約書の作成の遅延等について、違法不当な事項として、その是正または改善を求めています。資料はお手元に置かせていただいております。 そこで県土マネジメント部長に伺います。 1点目は、当該工事は随意契約で発注されているが、県の随意契約の締結に関する取扱基準上、不適切な契約ではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。 2点目は、工事箇所は登記簿上、県有地ではなく工事をした事業者の所有地となっていますが、なぜこのような土地に公金を投入して工事を実施したのか、お伺いします。 3点目は、法面対策工事で、民地側を大きく排土したことにより、国道側の法面部分が不安定になり、崩落の危険性が残っているのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。 最後に、生駒市壱分町・東生駒大規模開発プロジェクトの開発許可についての要望です。 この事案については、近隣の自治会から生活道路に支障が出ないか危惧する声が上がっており、市へ壱分北地区内の開発計画における地区内補助幹線道路の見直しの要望が出ています。生駒市は、令和4年11月18日、市都市計画審議会を開催し、この見直しの要望に対し、現在、警察、県、市、事業者の4者で詳細に協議を行っていると説明しています。県の各種開発事業に係る事前協議の指導事項の29の5項では、開発道路と現況道路の交差部など、県建築安全推進課と協議を行うこととなりますので、県は、近隣の地域の交通安全等についての適切な審査や指導が必要と考えます。 次に、開発地域の現況は、山林、田等であり、約520戸の大規模な開発をすることで保水力が減り、開発に伴い設置される調整池が機能しないと、県管理の竜田川に過度の負担がかかり、下流域に水害が発生する可能性があります。 近年、線状降水帯が発生し、短時間に猛烈な雨が降ることが度々起こっています。また、生駒市のハザードマップでは、竜田川下流地域の小平尾や小瀬等は浸水想定区域に設定されています。都市計画法第29条に基づき、事業者が県に当プロジェクトの開発許可申請を出したときには、地域の特性を鑑み、近隣の地域の生活道路に影響が出ないか、調整池が基準に適合するのか等の厳格な審査をお願いしたいと存じます。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)19番阪口議員のご質問にお答え申し上げます。私に対しましては、県内公共交通の維持・充実についてというご質問でございます。 阪口議員が言及されましたように、ベッドタウン奈良のバス路線は、これまで主に住宅地と鉄道駅を結ぶバス路線が多くございます。その中には、高齢化等による通勤者の減少により、従前のままではサービスを維持することが難しくなっている路線がございます。鉄道駅から結ばれる近鉄、鉄道事業そのものも、オールドベッドタウンの需要減少に襲われ、経営が難しくなっているのと同じ現象だと思います。そうした地域住民の方々の通勤以外のニーズでございます通院や買物など、生活ニーズに関わる移動ニーズを支える輸送サービスを、今後も確保する必要がございます。この輸送サービスと移動ニーズをどうマッチングさせるかにつきましては、事業者に任せるだけでなく、地域と事業者の対話が必要だと考えております。近畿日本鉄道株式会社にも同じようなことを言いましたが、地域と事業者の共存共栄を図る取組が必要だという考え方でございます。県では、こうした考え方を奈良県公共交通基本計画の柱として位置づけてまいりました。広域バス路線の改善・見直しに取り組んできたわけでございますが、地域におけるコミュニティバスの実証運行などに対し、支援を行ってまいりました。 また、最近の新たな取組として、自動運転やマース(MaaS)と呼ばれるデジタル技術を活用した交通サービスの導入に向けた検討も進めております。県内市町村から提案を募ったところ、鉄道駅と観光スポットを結ぶ自動運転バスや、路線バスの停留所と高齢者の住宅を機動的に結ぶ小型モビリティなど、意欲的なアイデアが寄せられました。これらを実現すべく、来年度にも実証走行を行うため、協議を進めているところでございます。 なお、最近の原油価格高騰への対応策の1つとして、今議会に提出しております補正予算案に、バスやタクシーといった公共交通事業者の負担軽減を図る追加的な支援を盛り込んでおります。 また一方、国土交通省には、県の役割、責任を法律上明確にするように求めてきております。公共交通の維持に関する県の責務は、法律上、あまり明確に規定されていないと、従来考えてきておりました。県の役割、責任が明確になれば、積極的に対応する県がさらに増えるものと考えます。また、国からも、より大きな普通交付税などの財政的支援が得られるものと考えております。国土交通省には、バス事業の活性化とともに、地域住民の足を守るということを、国のバス交通政策の中心目標とすることを求め続けてきたものでございます。県内公共交通の将来にわたる維持・充実を図るべく、引き続き国への要求を続けるとともに、関係者と連携し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。私に対する質問は1つでございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)19番阪口議員から私へは、太陽光発電事業終了後の太陽光発電パネル等の適正処分についてのお尋ねです。お答えします。 阪口議員お述べのとおり、2012年の固定価格買取制度の創設以降、本県でも多くの太陽光発電施設が設置されましたが、2040年頃には太陽光発電パネルが耐用年数を経過し始めるため、その適正な処分が課題であると認識しております。 国では、適正処分を資金面から担保するための新たな制度として、解体等積立金がスタートしています。具体的には、太陽光発電事業者に支払われる電気の買取り価格から将来の撤去・処分に必要となる額を源泉徴収的に差し引き、国の認可法人が管理する基金に積立てをするもので、本年7月から積立てが開始されています。 本県では、現在検討している太陽光発電施設の設置等を規制する条例において、事業終了時の施設の適正な撤去と廃棄を事業者に義務づけるとともに、事業譲渡時に責任の所在が不明確とならないよう、事業者の地位の継承についても規定を設けることを検討しています。 また、太陽光発電設備の処分にあたって、事業者は廃棄物処理法に基づき、適正に処分しなければなりません。県としては、改めてこの法制度の周知を図るとともに、違反時には厳格に対処いたします。以上です。ご質問ありがとうございました。
    ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)19番阪口議員より私に対して、まず辻町インターチェンジの整備についてご質問がございました。 辻町インターチェンジの整備は、地域住民の利便性の向上、富雄インターチェンジや生駒インターチェンジの渋滞緩和を図るため、フルランプ化し、奈良市方面へのアクセスを確保するもので、本県の幹線道路の整備として重要な事業でございます。平成27年度に事業着手し、地元協議を重ねてきましたが、地元のご理解が得られない状況が続きました。そこで、令和3年度に代替案を策定し、生駒市とともに、地元の代表の方々に説明を行いました。その後、令和3年10月から市と協力しながら、地権者の方々への説明を重ねています。県では、いただいたご意見の設計への反映や、これに対する警察協議を行いつつ、地権者及び地域のご理解、ご協力をお願いしているところでございます。引き続き、生駒市と十分に連携を図りながら、地元及び地権者の協力が得られるよう取り組んでまいります。 続きまして、一般国道168号十津川村高津法面対策工事について、3問ご質問がございました。関連しますので、まず、この工事の経緯についてご説明いたします。 阪口議員ご指摘の現場は、昨年1月末に国道横の斜面が崩れているとの通報を受け、緊急点検を実施しました。その結果、道路法面の上段部及び尾根をまたいだ民有地側の斜面で崩壊が発生し、法面頭頂部に不安定土塊が残っていること、国道側のコンクリート吹付法面に多数の亀裂が生じていることを確認しました。 この時点では、直ちには国道側の法面崩壊につながる危険性は認められなかったものの、今後の大雨により不安定土塊が崩落することが懸念されたため、経過観察を行いながら、法面対策工法の検討を実施し、設計完了後速やかに対策工事に着手する予定でいました。しかし、昨年5月末に梅雨前線による豪雨があり、再度、緊急法面点検を実施した結果、法面上部の亀裂が拡大し、国道側へ崩落する危険性があることが判明しました。道路管理者として早急に対策が必要と判断し、本件工事を実施したものでございます。 それでは、お尋ねの3点について順次お答えしていきます。 まず、1点目、本件随意契約が不適切な契約ではないかというご質問にお答えいたします。 まず、この現場は、梅雨前線豪雨の影響で、法面頭頂部の不安定土塊が崩落する危険性が大きく高まったため、通常の競争入札に諮るいとまがなく、直ちに工事に着手する必要がありました。加えて、法面上部の不安定土塊が、尾根を挟んで県有地と民有地にまたがっており、その部分を緊急的かつ安全に除去するには、県有地と民有地を同時に切り下げる必要があったこと、かつ、当該民有地の地権者は施工能力を有する建設業者であり、同種工事の実績も豊富であったことから、地方自治法に基づき、本件契約の相手方と随意契約を締結したものであり、適正であったと考えております。 2点目のご質問、登記簿上、県有地ではない土地で工事を行ったことについてのご質問にお答えいたします。今回の工事は、県が平成6年度に国道168号高津バイパスの事業用地として取得し、平成8年度に道路改良工事を完了しております。買収当時、買収対象となる民有地は隣接地との境界が不確定であり、また、隣接地の相続人が不明であったため登記ができませんでした。しかし、県と民有地の地権者との売買契約は成立しており、所有権は県にあることから、県有地で工事を実施したものです。 なお、県が取得していない民有地については、本件の工事に合わせて、民有地の地権者がみずから工事を実施しました。 3点目の、本件工事により、国道側の法面部分が不安定になり、崩落の危険性が残っているのではないかとのご質問にお答えいたします。本件工事により、国道側へ崩落する可能性のある不安定な土塊はすべて除去しており、崩落の危険性は除去できたものと考えています。そのほかにも、既設のコンクリート吹付法面部にひび割れなどがあり、その補修についても引き続き実施してまいります。今後も引き続き、道路のパトロールを行うなど、安全・安心の確保に努めてまいります。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) まず、公共交通の維持・充実についてでございますが、私は、奈良県公共交通基本計画、これ何回か読ませていただきました。そうしますと、総合的に、随分きっちり書かれて、他県と比べても先進的な取組ではないかと思っています。知事の答弁の中で、鉄道のこともありますが、知事は県民の意見を十分反映していただいて、公共交通の維持について考えておられると私は認識しています。この公共交通基本計画について、他県と比べてどうなのか、その辺、知事、何かお考えがありましたら、ご回答よろしくお願いします。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 奈良県のバス事業を改善するための公共交通基本計画でございますが、バス業界の会長の方も奈良県庁へ来られます。奈良県のバス事業者はいいなあと、こんな計画を知事が作ってと、このように言われました。 今、路線バス、大変全国的に困難になっておりますけれども、奈良県のように各県が全部取り組んでくれたらいいのにとおっしゃいました。自慢するわけではございませんけれども、多少経験もございますので、権限がないのに取り組んだという点が多少自慢になるかもしれませんけれども。国、県の責務を明確にしてくれると、もっと大々的に取り組むのにと、バス停留所を県がもっと整備できるのにという思いはありますので、権限、責任を明確にしろというのは、そのような思いからでございます。その中で県は、バスカルテというものをつくりましたのは奈良県独特でございますので、それは全国の業界団体からも評価されているということは直接聞きました。 このような努力は、地方地方で続けていくことができれば1つの例になろうかと思っております。まだまだやることは残っていると認識しておりますけれども、このような、現実の路線路線についてのカルテをつくっていくという手法は、1つのやり方ではないかと思っております。そのような公共交通基本計画に着目して言及していただきましたことは感謝するところでございます。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 次は、辻町インターチェンジについての要望でございます。生駒市にも私は進捗状況等を何回か聞いております。生駒市は一生懸命取り組んでおります。県の事業ですから、清水県土マネジメント部長、赴任されて早々でございますが、ぜひ主体的に取り組んでいただくと、そういう意味では一度、現場等も見ていただいたらどうかと思いますが、その点、何かお考えがございましたらよろしくお願いいたします。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 私も現地は既に何回か通っております。半分しかないインターチェンジということになっておりますので、地域のご協力をいただいて、奈良側にもフルランプ化することで利便性が上がるように、一日も早く、市とともにやっていきたいと思っております。よろしくご指導お願いいたします。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 次は、国道168号の法面工事についてでございます。何点か質問させていただきます。随意契約は、やはり競争性が担保されていないと、工事価格が高くなるかも分かりません。これは県民の税金でございますので、まず、この点でございますが、緊急性がなかったのか、あったのか。私は土木工学の専門家ではありませんが、五條土木事務所指名審査会説明資料を見て質問しているわけで、大雨により不安定土塊に変状が見られたしか書いていないわけです。きちんとした、崩落するというふうなところがありませんので、質問いたしておりますが、これは少し根拠を専門家に聞いてみないと分からないので、質問は登記の面にいきますが、未登記であると。そうしましたら、登記をして、そして随意契約をすればいいのではないかと思いますが、その点、お伺いします。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 通常、用地買収につきましては、登記の移転を確認後に土地代金を支払いますが、この土地、平成8年度以前に購入しておりますが、平成8年度以前は、全国的に登記前支払特例という制度がございました。これは山間地等で大規模な公図訂正が必要である土地や、隣接地との筆界について、隣接地所有者の同意が得られないような土地、こういった場合につきまして、未登記で土地代金を支払う事例がございました。 しかし、平成8年度に会計検査院の指摘が、これは当県ではございませんが、ございまして、本県におきましては平成9年度からこの制度を廃止しております。このため、平成9年度以降は未登記のまま行うと、用地を取得するといったことは、一部、境界未確定のまま収用裁決された案件等を除きましてございません。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 今質問しましたのは、未登記の理由ではなくて、随意契約するにあたって、登記上きっちりして、登記して随意契約をしたらよかったのではないかと。未登記を是認する形で随意契約するのはよくないのではないかという質問でございます。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 今回の法面工事におきましては、先ほど申し上げましたように緊急性があるということでございました。この土地が未登記であった理由でございますけれども、隣接地の境界が未確定だということでございます。さらには相続人が不明ということでありました。今回、緊急で工事するにあたりまして、相続人を探し、筆界を特定して公図を訂正する、登記をする、それから工事をするというのは大変時間がかかりますので、今般は緊急性があることから、まず工事を行いました。その際にも、当然ながら県有地であると、平成6年度に取得した県有地であるということをしっかり確認した上で工事を行っております。この未登記になっておりますこの土地については、引き続き登記できるように手続、調整を進めているところでございます。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 本来、登記については、お金を払ったときに、司法書士等が入って登記手続完了するのが筋でして、30年たって必ずこれを登記できるとは、100%保証はできないと思うのです。ですから、きちんと登記を確定して、そうでないと随意契約できないと。そうしますと、やはり一般競争入札にすべきであったのではないかと。 次の質問ですが、この該当事例を使いますと、また、ここで崩落等があれば随意契約することにつながることになりますが、その辺についてお聞きをします。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) また崩落が起きた場合に、随意契約するかどうかということでございますけれども、随意契約するかどうかは、それぞれの事案ごとに、その工事の置かれています状況、緊急性であるとか、その場所の特徴、そういったことに応じて総合的に判断して、その都度判断いたしますので、そういった事例が発生した場合は、適切に判断してまいりたいと考えております。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) この事案につきましては、開示請求を2回したり、五條土木事務所も聞き取り調査も行っています。何か月にわたって調べています。あと、疑問なところは境界確定がきちんとできていないわけです。そうしたら、この工事、民地側と県有地側で幾らお金がかかったのか。総事業費が幾らなのか、そして、県の負担額、民地側の負担額を明らかにして工事をすべきであると思いますが、その点についてはいかがお考えですか。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 境界につきましては、当該地権者と県の職員で立会いを行って確認した上で工事を行っております。費用負担ですけれども、先ほども答弁させていただきましたとおり、民有地の部分の工事につきましては、民有地の地権者がみずから行っておりまして、県の負担はございません。以上です。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 質問にきちんと答弁されていないのです。総事業費が幾らで、そして、民地側の負担額は幾ら、県有地側の負担額は幾らということを明らかにすべきだろうと言っているわけです。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 今回の工事、県側の県有地側で行った工事の事業費につきましては、申し訳ございません、今手元に数字がございません。ご負担額とおっしゃっておられますけれども、民有地は先ほど申し上げたように、民間側が行っておりますので県の負担額はございません。以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 19番阪口保議員。 ◆19番(阪口保) 次は細かい質問になるので、答えられる範囲で結構でございます。 工事といいますのは、まず、県は事業執行伺というものをつくります。これが6月2日でございます。そのときに仕様書、それから設計書等を添付しますが、そして業者に見積り依頼をします。それは書いていないのです。それから入札調書が6月2日、そして入札予定見積書も6月2日でして、あと調べますと、入札結果及び契約内容の公文書の開札の時間が、6月2日の9時になっているわけです。少し時系列的に、1日でこれができるものかと思いますが、いかがお考えですか。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 極めて緊急性が高いということで、短時間の中でやったと報告を受けておりますが、阪口議員から資料2ということで監査結果報告書をいただいておりますとおり、ほかの案件で、支出負担行為及び契約書の作成の遅延についてということで、内部監査でもご指摘いただいておりますので、今後こういった遅延等、発生しないように運用していきたいと思っております。 ○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。 △午後2時29分休憩    -------------------------------- △午後2時44分再開 ○副議長(西川均) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、11番池田慎久議員に発言を許します。--11番池田慎久議員。(拍手) ◆11番(池田慎久) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良市・山辺郡選挙区選出、自由民主党の池田慎久でございます。日頃の活動におきまして、県民の皆様からいただきました声を大切に、奈良の安心・元気・未来をつくることを目指し、荒井知事並びに関係理事者に質問をさせていただきます。 まず初めに、大阪・関西万博をきっかけに、関西を訪れる観光客の奈良県への誘客戦略について、荒井知事に質問させていただきます。 今からちょうど52年前、高度経済成長真っただ中の昭和45年、大阪万博が開催されました。当時2歳の私にとって万博の記憶はほとんどありませんが、アルバムの写真を見ますと、会場は活気と笑顔にあふれ、とてもにぎやかな様子がうかがえます。議場におられます県議会議員の皆様、そして理事者の皆様、テレビをご覧になっておられます県民の皆様の中には、当時、万博会場で胸を躍らせ、わくわくした思い出をお持ちの方が多いのではないでしょうか。あれから50年余りの時を経て、大阪・関西万博が2025年、再び大阪で開催されることになりました。 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして、2025年4月13日~10月13日までの184日間、大阪夢洲で開催され、想定来場者数は約2,820万人、経済波及効果は、試算値で約2兆円が見込まれております。 私は、この万博が大阪で開催されることから、奈良県はどのように関わっていくのか、どのように参画しようと考えておられるのか、さらに、万博開催中はもちろん、万博をきっかけに関西を訪れる観光客が、奈良県へ足を延ばして周遊観光していただけるよう戦略を持って取り組んでいかなければならないと考えておりますし、万博開催中においては、奈良県で、例えばサテライト会場を設置し、万博と連動した展示やイベント等ができないかと考えております。また、奈良県の持つ豊富な歴史、文化、自然を見て、学んで、魅力を体感できる受け皿づくりと、誘客のための情報発信が大変重要であると考えております。 そこで、荒井知事にお尋ねします。 2025年の大阪・関西万博を2年4か月後に控え、県内の機運醸成に向けて、県ではどのような取組を進めておられるのかお聞かせください。また、万博を一過性のものとせず、これをきっかけとして、今後、関西を訪れる観光客をどのように奈良県へ誘客していくのかお聞かせいただきたいと思います。 次に、平城宮跡南側地区の公園整備について、引き続き荒井知事に質問させていただきます。710年に都が置かれ、長岡京に遷都されるまでの74年間にわたり政治の中心であった平城宮は、荒井知事の強いリーダーシップにより、平成20年に国営公園化され、古都奈良の歴史的・文化的景観の中で、平城宮跡の保存と活用を通じて、奈良時代を今に感じる空間の創出を目指し、平城宮跡歴史公園として整備が進んでおります。 国によって第一次大極殿や、第一次大極殿院南門、朱雀門が復原され、さらに東楼の復原整備工事が進んでおります。さらに、平城宮いざない館をはじめ、観光交流施設が整備され、朱雀大路東側地区においては、奈良県により歴史体験学習館が整備されております。また、課題でありましたアクセスについては、近鉄大和西大寺駅や奈良公園などと平城宮跡を結ぶ、ぐるっとバスを毎日走らせていただいておりますし、南側地区には仮設駐車場を設けていただいたことで、マイカーでのアクセス性も向上し、来場者の利便性が格段によくなったことは周知の事実でございます。 そのような中、県ではこの南側地区の整備について、平城宮跡歴史公園南側地区の整備に関する検討委員会を設置し、有識者の意見等を踏まえ、このほど平城宮跡歴史公園南側地区整備計画(案)を取りまとめられたと聞き及んでおります。 そこで、荒井知事にお尋ねします。 平城宮跡南側地区の整備計画の内容についてお聞かせください。また、観光客の利便性と安全性の向上のためには、南側地区と北側の平城宮跡を自由に行き来できるよう、歩道橋あるいは地下道を整備するなど、安全な動線確保が必要と考えますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、奈良県におけるがん対策について、医療政策局長に質問させていただきます。 日本人の死因の第1位はがんであります。厚生労働省の調査によりますと、特に40歳~89歳までの人は、がんで死亡する人数が非常に多く、今や2人に1人ががんになるとも言われております。奈良県でも年間1万人以上ががんになり、また、亡くなる方の死因の約3割ががんによるものとされております。 一方、医学の進歩により、従来は治療が難しかったがんについても治るようになってまいりました。胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの、いわゆる5がんは、早期発見すれば80%以上が治ると言われております。奈良県でも、がん診療連携拠点病院等を県内に9か所整備し、手術療法、放射線療法、薬物療法を組み合わせた集学的治療を提供する体制を整備するとともに、専門的知識・技能を有する医療従事者の育成、がんゲノム医療に代表される先進的な医療の導入など、医学の進歩に遅れることなく取り組まれたことにより、がん死亡率は大きく低下し、ここ16年で全国一の減少率となっております。がん死亡率を低減させるためには、がんの早期発見が重要であり、がんの早期発見のためには、定期的ながん検診の受診がとても大切であるということは言うまでもありません。 こちら、前に置かせていただきましたパネルにありますように、平成22年の奈良県におけるがん検診の受診率は、胃がん29.3%、肺がん20.2%、大腸がん24.7%、乳がん35.7%、子宮頸がん35.7%と全国平均よりかなり低い状況でありましたが、県民意識の変化と行政の熱心な取組等により、令和元年度のがん検診の受診率は、胃がん42.1%、肺がん44.8%、大腸がん42.8%、乳がん45.1%、子宮頸がん42.5%と随分上がってまいりました。しかしながら、今なお全国平均には及んでおりませんし、国が目標とする50%には、いずれもまだ届いていないことから、県民一人ひとりの意識の高揚に向け、県としてさらに取組を強化する必要があると考えます。 そこで、医療政策局長にお尋ねします。 がんは、医学の進歩により、早期発見すれば80%以上が治ると言われています。早期発見のためには、がん検診の受診がとても大切ですが、県の受診率向上に向けた取組についてお聞かせいただきたいと思います。 奈良県のがん対策に関わってもう1点、小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法の取組状況について、医療政策局長に質問させていただきます。 妊孕性温存療法とは、抗がん剤や放射線治療等により、主に卵巣や精巣等の機能に影響を及ぼし、生殖機能が低下する、または失われることがあるため、原疾患の治療を開始する前に受精卵、未受精卵子、卵巣組織、精子を採取し、長期的に凍結保存するものですが、治療後の保存後生殖補助医療を含め、これらはすべて自費診療となるため、高額な費用負担が生じ、特に若年のがん患者等にとっての経済的な負担は大きなものとなっております。 将来、子どもを産み育てることを望む小児、思春期及び若年世代のがん患者さんたちが、安心してがん治療を進めるためにも、支援がぜひ必要だと考えております。 そこで、医療政策局長にお尋ねします。 がん治療によって妊娠するための力が低下すると言われていますが、がん患者の方の中には、将来、子どもを産み育てることを望む方も多くおられます。このような方に対して、県ではどのような支援に取り組んでおられるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。 次に、県が管理する道路の維持管理のさらなる充実について、県土マネジメント部長に質問させていただきます。 県道をはじめ、3桁国道など、県が管理する道路の総延長は約2,030キロメートルに及びますが、土木事務所においては、適切な道路の維持管理やパトロールを通して、私たちが安全・安心で快適に通行できるよう日々ご努力いただいておりますことに、県民の立場からお礼を申し上げます。 しかしながら、路線によっては、道路の維持管理が十分に行き届かず、沿道の樹木が道路に覆いかぶさり、まるでトンネルのようになっているところや、道路側溝が堆積土砂で埋まり、側溝の機能が失われているところ、舗装の傷み、さらには、安全に走行するために不可欠なセンターラインなどの白線が消えかけているところも、特に中山間地域では多く見受けられます。これまで私は、県が管理する道路の維持管理のさらなる充実について、県民の期待に応えられるよう、この本会議をはじめ、委員会でも度々予算の拡充と迅速な対応を強く求めてまいりましたし、道路管理者である県の責務として、安全、快適で、安心して走行できる道路環境をつくれるよう、道路維持には特に力を入れていかなければならないと考えております。 そこで、県土マネジメント部長にお尋ねします。 近年の道路維持管理費の推移と今後の維持管理に向けた取組について、お聞かせいただきたいと思います。 続いて、みんなで・守ロード事業について、引き続き県土マネジメント部長に質問させていただきます。 みんなで・守ロード事業は、「もてなしの心溢れる魅力ある奈良県づくり」を推進するため、地域の住民や企業による快適な道路空間の維持・向上に向けての主体的な取組の育成と継続を図るため実施されている事業であり、自分たちの住む地域を愛し、幸せに感じられる地域づくりを推進することを目的として、平成18年度から実施されています。現在、道路保全プログラムでは81団体、道路美化プログラムでは24団体の登録があり、みんなで・守ロード事業は、地域住民の皆様の多大なご協力によって成り立っております。 しかしながら、高齢化による担い手不足や、幹線道路での作業の危険性の高まり等により、最近では、もう続けられないという団体も出てきていると伺っております。とりわけ中山間地域においては、今後その傾向がますます加速すると考えられ、県として事業を継続していくために、現状認識と課題の整理、そして新たな対策を考えていく時期に来ているのではないかと強く感じております。 そこで、県土マネジメント部長にお尋ねします。 みんなで・守ロード事業について、とりわけ中山間地域では、高齢化による担い手不足などの課題がありますが、今後の事業継続に向けてどのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。 最後に、自転車が関係する交通事故の抑止対策と、自転車利用者が交通ルールを遵守できるようにするための取組について、警察本部長に質問させていただきます。 最近、警視庁などにおいて、自転車の交通違反に対する取締りを強化したという報道を目にしました。奈良県においても、自転車が車道を自由気ままに走行したり、信号無視やスマートフォンを見ながら運転する姿を、私もあちらこちらで見かけますので、危険な運転をする自転車の取締りを強化することは、自転車による交通事故を未然に防ぐためにも、とてもよいことだと私は考えております。自転車利用者による危険な運転は、自動車や歩行者と衝突する可能性が非常に高く、極めて危険だと感じておりますので、交通ルールを守らない自転車利用者には交通ルールを正しく守っていただけるよう、積極的に取締りや指導警告等に取り組んでいただくことは大切であります。 一方で、そもそも自転車利用者の中には、自動車やバイクと同じように、交通ルールを守らなければならないという意識が低い方もおられるのではないかと思いますし、運転免許を持っていない方など、交通ルールを詳しくご存じない方もおられると思いますので、自転車が守るべき交通ルールについて広く周知していく必要もあると考えております。 県警察においては、日常的に交通安全教室や街頭での啓発活動など、熱心に取り組んでいただいていることは重々承知しておりますが、すべての自転車利用者が交通ルールを遵守できるよう、私もお手伝いしたいと考えまして、本日は奈良県警察が作成されましたチラシを拡大いたしまして、こちら、パネルにして、テレビをご覧の県民の皆様お一人お一人にも自転車の交通ルールを知っていただきたいと思い、持参いたしました。 このチラシは、本年11月に改正されました自転車安全利用五則の内容となっており、イラスト入りで、とても分かりやすいと思いますので、このようなチラシも大いに活用していただきながら、自転車を利用する子どもから高齢者までが交通ルールを十分に理解し、遵守できるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。 そこで、警察本部長にお尋ねします。 自転車が関係する交通事故の抑止や、自転車利用者が交通ルールを遵守できるようにするため、県警察ではどのような取組を進めているのか、お聞かせいただきたいと思います。 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)11番池田議員のご質問にお答え申し上げます。私に対しまして最初のご質問は、大阪・関西万博をきっかけに関西を訪れる観光客の奈良県への誘客戦略についてでございます。 世界の英知や最先端の技術が結集する万博が、55年ぶりに関西で開催されます。大変意義深く感じておりますし、本県としても、万博の機運醸成に積極的に関わるとともに、観光地奈良の認知度をこの機会に上げていきたいと考えております。そのため、県独自のPRパンフレット等の作成・配布のほか、機会を捉えて機運醸成に取り組んでおります。 今年7月に奈良県コンベンションセンターで開催されました全国知事会議におきまして、本県から会場内にPRブースを設置するよう日本国際博覧会協会に働きかけ、全国の知事や職員に対して万博に関する情報を発信する機会を提供いたしました。また、8月には本県と奈良県商工会議所連合会が主催して、県内企業や市町村を対象とした説明会を開催し、万博の概要や準備状況等を周知いたしました。また、来週、県で開催されますガストロノミーツーリズム世界フォーラムをはじめ、大規模な会議等で万博について積極的にPRし、万博の本部からも説明に来ていただくことにしております。 次に、万博を契機とした本県への観光客の誘客でございます。万博会場から本県までのアクセスのよさを生かし、関西に訪れた観光客には、まず奈良を観光し、宿泊していただきたいと思っております。そのときには、万博の会場で奈良を宣伝する前に、万博には奈良から出かけていただくことを基本戦略にしたいと思っております。万博のついでに少し奈良に行くのではなく、奈良に滞在したついでに万博に行くことをお勧めしたいと思っております。奈良は魅力のある観光地でございますが、この際、万博会場に大変近いという立地をあまり知られていないことでございますけれども、最大限生かしていきたいと思っております。 本県が有する豊富な歴史・文化と食をかけ合わせたガストロノミーツーリズムや、ゆっくりと過ごしていただく宿泊など、奈良でこそ味わえる多様な魅力を生かしまして、奈良に泊まって万博に行く旅行商品の造成促進と情報発信に取り組みたいと考えております。 インバウンドにつきましても、日本政府観光局(JNTO)などの政府系機関等と連携し、万博には奈良に泊まって行くを基本に、海外現地メディアへの情報発信などを積極的に行いたいと思います。奈良の宿泊レベルを上げていく必要もあると思います。万博を契機としたこれらの取組を通じて、奈良の認知度向上と来訪意欲の喚起を図り、リピーターを醸成するまたとない機会だと思っております。 次のご質問は、平城宮跡南側地区の公園の整備についてのご質問でございます。 平城宮跡南側地区は、類いまれな立地環境を生かし、平城京のスケールを感じ、往時の姿をイメージできる歴史空間として、また、人々が気軽に立ち寄りたくなる、憩いくつろげる空間として整備を進める方針でございます。このような歴史を感じ、くつろげる空間は、他の地域にはないものだと感じております。これまで、多くの有識者の方からご意見を伺うとともに、地域の方々のニーズも把握し、検討を進め、このたび整備計画案として取りまとめたところでございます。 本計画案ではまず、歴史空間の整備として、平城京の姿が感じられますよう、朱雀大路の再現整備や往時の条坊道路の遺構表示などを行いたいと思っております。また、憩いくつろげる空間といたしまして、大極殿や若草山等の眺望がこの地域から楽しめる芝生広場のほか、休憩施設や飲食施設、子どもの遊具広場等の整備を検討しています。さらに広大な園内を周遊できるパークモビリティの導入等も行う予定でございます。これらの計画案を今議会で報告させていただいた後、パブリックコメントを実施し、今年度中に整備計画とする予定でございます。 次に、大宮通り北側と当地区を結ぶ歩行者等の動線の確保については、公園の一体性や利用面から、とても重要な課題だと認識しております。池田議員がご指摘のとおりだと思います。一方、この場所は世界遺産エリアに隣接しているとともに、貴重な地下遺構が残されております。また、将来の近鉄線移設が検討されることなどから、歩道橋や地下道による横断も一案と思いますが、様々な角度からの検討も必要だと思います。このため、まずは現在の横断歩道方式の中で、観光シーズンやイベント時に、例えば、信号の横断時間の延長や誘導員の配置など、来園者の安全性・利便性向上について、よく検討して実験をしたいと思いますが、その結果を検証しながら、さらなるアイデアが出るかどうか検討していきたいと思っているところでございます。私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 大澤医療政策局次長。 ◎医療政策局次長(大澤和重) (登壇)11番池田議員より、医療政策局長に対しまして、奈良県におけるがん対策について、がん検診の受診率向上に向けた取組について、もう一つは、子どもを産み育てることを望む方に対して、県ではどのような支援に取り組んでいくのかというご質問をいただきました。お答えいたします。 がん検診の受診率向上に向けた取組につきましては、がん検診の実施主体である市町村との連携が不可欠です。県では、平成30年3月に策定した第3期がん対策推進計画において、胃・大腸・肺・乳・子宮の5つのがん検診について、まずは受診率50%を目指して取組を進めております。具体的には、市町村ごとにがんの罹患状況や、がん対策の進捗状況を見える化した上で、地域の実情に応じて検診対象者への個別の受診勧奨や再勧奨などの効果的な取組が実施されるように、好事例の共有などの支援を行っております。 また、県民向けには「がん検診を受けよう!」奈良県民会議において、奈良県がん対策推進議員連盟、企業、行政など130団体が構成員となって、様々な啓発に取り組んできました。令和3年度以降は、講演会やがん検診の啓発動画、会員企業の取組事例の動画の配信を開始するなど、従来の街頭啓発や集合形式の講演会では関心を持っていただけなかった方々への啓発にも注力しております。今後も行動変容を促す取組を進め、さらなる受診率向上に努めてまいります。 次に、子どもを産み育てたい患者への支援についてお答えいたします。 がん治療によって妊娠するための力、すなわち妊孕性が低下することがあり、妊娠・出産を希望する患者にとって大きな課題となってきましたが、近年、受精卵などを採取して、長期凍結保存する妊孕性温存療法の技術が進歩しています。県では、国のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業を活用し、昨年7月から、妊孕性温存療法に係る治療費の助成を開始いたしました。今年9月には助成対象を、凍結保存した受精卵などを使った温存後生殖補助医療の治療費にも拡大したところでございます。この妊孕性温存療法を安心して受けていただくため、産婦人科などの生殖医療機関と、がん等原疾患の治療実施機関で構成する、がん・生殖医療の連携ネットワークを構築し、医療機関の紹介や、この療法に係る最新医療情報の共有が図られる体制を整えました。また、今年4月には県立医科大学に相談窓口を設置し、患者に対し相談支援を開始しています。また、ホームページの周知や、説明リーフレットをがん治療を行う医療機関などへ配布することで、妊娠・出産を希望されるがん患者に情報が届くよう努めております。 今後も、がんにならない、がんになっても安心できる奈良県を目指し、がん予防・早期発見や、がん医療の充実に取り組みます。以上でございます。質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)11番池田議員から私には、道路の維持管理の充実について、道路維持管理費の推移と今後の取組、それから、みんなで・守ロード事業の今後の取組についてご質問がございました。お答えいたします。 道路の維持管理は、道路利用者の安全・安心を確保するために必要不可欠なものと認識しております。各土木事務所では、安全・安心かつ快適に道路を利用いただけるよう、職員による道路パトロールや道路利用者等からの通報、また、地域の皆様方からのご要望も踏まえ、道路の通行に支障となる樹木の枝葉の伐採、除草、舗装の穴ぼこやひび割れ等の補修を行っております。池田議員お尋ねの道路の維持管理に係る予算については、近年、増額してきており、令和4年度予算は、5年前の平成30年度予算と比べて、約6億円多い約28億円となっております。 一方で、道路管理延長の増、施設の老朽化の進行や、職員数の減少も相まって、道路の維持管理を取り巻く状況は厳しくなっており、すべての箇所に即時に対応することは困難であることから、緊急度等に鑑み順次実施している状況です。これらの状況を踏まえまして、今後は、例えば、ドライブレコーダーとAIを活用した路面損傷箇所の検出を行い、路面のひび割れから剥離への予兆がある状態で補修を行うことで、穴ぼこの発生を抑制するなど、新技術の活用を積極的に取り入れつつ、効率的かつ効果的な維持管理に努めてまいりたいと考えています。 次に、みんなで・守ロード事業についてお答えします。本県では、地元自治会やボランティア団体、事業所等が主体的に行う草刈り等の保全活動や、花植え、ごみ拾い等の美化活動に対して、物品の支給や保険の加入などの支援を行っています。池田議員お述べのとおり、自治会等の地域活動の担い手の高齢化等が課題となっています。現在の参加団体数は、県内全域において、平成29年度の111団体に比べ、ほぼ横ばいでありますが、参加人数は約2割減少している状況でございます。また、この2年間は、コロナ禍により、活動中止の報告も多くなっております。 今後、高齢化が顕著な地域においては、自治会等による地域活動はますます困難になることが推測されます。みんなで・守ロード事業への参加人員を増やすため、県や市町村広報誌による募集案内や、自治会等への積極的な働きかけとともに、地域のニーズの把握に努め、高齢者等も安全に安心して参加できるよう、支援策を検討してまいりたいと考えています。以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 安枝警察本部長。 ◎警察本部長(安枝亮) (登壇)11番池田議員から私には、自転車が関係する交通事故対策についてご質問いただきました。お答え申し上げます。 近年、人身事故件数が減少傾向にある中、自転車が関係する事故件数はほぼ横ばいで推移しており、そのうち、死亡・重傷事故の約9割では、自転車側にも一時不停止や安全不確認などの法令違反が認められるところでございます。加えて、本年4月に公布されました道路交通法の一部改正により、自転車利用時のヘルメット着用の努力義務の対象について、従来の13歳未満の幼児や児童から、全年齢に拡大されることとなったところでございます。これらを踏まえ、警察といたしましては、自転車利用者に交通ルールを遵守いただき、自転車が関係する交通事故を抑止する必要があると認識しております。 このため、県警察では、関係機関や団体と緊密に連携いたしまして、交通安全教育や広報啓発活動、自転車通行空間の整備、交通違反に対する指導取締りを推進しているところです。特に、毎月22日を自転車街頭指導啓発デーと設定をし、県内各地において広報啓発活動や指導取締り等を強化しております。 また、池田議員お述べのとおり、本年11月に、中央交通安全対策会議で、新たな自転車安全利用五則が定められたところでございます。これを広く県民に周知するため、県警察のホームページやツイッターなど、様々な媒体を活用して広報啓発を行っているところでございます。県警察としては、今後も広報啓発活動や、悪質な交通違反に対する指導取締り等を積極的に推進し、自転車利用者に交通ルールを遵守していただき、自転車が関係する交通事故の抑止を図ってまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(西川均) 11番池田慎久議員。 ◆11番(池田慎久) ご答弁ありがとうございました。 まず、大阪・関西万博をきっかけに、関西を訪れる観光客の奈良県への誘致戦略についてでございますが、この3年間は、新型コロナウイルス感染症で観光業者、関連事業者が随分、大きく傷ついております。「いまなら。キャンペーン」等で支援はしていただいておりますが、先ほど知事がおっしゃった、奈良にまず来ていただいて、奈良を観光していただいて、奈良から万博へ出かけていただくと、私も大いに同意するものでございます。 奈良という場所は、万博へももちろん、アクセス性も非常に、1時間ほどで行けますし、奈良を拠点にしますと、京都へも1時間、橿原を例えば拠点にしますと、伊勢までも1時間あまりで行けると。県内周遊におきましても、奥大和へも十分アクセスが可能と、そういう意味では奈良県の置かれているこの立地というのはすばらしいものがございます。奈良にまず泊まっていただいて、大阪・関西万博に行っていただくということは、私は大いに賛同するものでございますし、そのために、まだまだやらなければならないことがあると思いますので、ぜひ、昨年7月に策定されました奈良県観光総合戦略に基づく施策の推進、これも着実に進めていただきますようにお願いしたいと思います。 特に、2番目に質問いたしました平城宮跡南側地区の整備についてでございますけれども、こちらについても、奈良県の観光総合戦略にも、平城宮跡のさらなる魅力向上を図ると明記されております。今後、パブリックコメントを経て、来年3月には整備計画を固めて、令和8年度の開園を予定されているということでございますけれども、今後、整備が進みますと、当然のことながらさらに多くの観光客がお越しになる、そのことを考えますと、やはり先ほど申しました南側地区と平城宮跡を自由に行き来できる歩道橋、あるいは地下道の整備がぜひ必要であると考えます。 歩道橋については、例えば一番西側に設置をすれば、景観にはさほど影響がないのではないかと私は考えております。むしろ歩道橋ができることによって、その歩道橋からの眺望が、平城宮跡を広く見渡せる絶好のビュースポットになるのではないかと考えますし、例えば地下道については、当然のことながら、知事がおっしゃったように、地下の遺構を考慮する、その必要は当然のことながらあるわけでありますが、将来、近鉄奈良線が移設されますと、この場所は地下駅になると思われますので、先に例えば地下道をつくっておいて、移設された近鉄線の地下駅と接続することができれば、将来的にも有効に使える、何よりも来場者の利便性、安全性に寄与すると考えております。 いずれにしましても、このたびせっかく南側地区を整備していただくわけでありますから、ぜひ来年3月、今年度中に取りまとめられるこの整備計画に、その辺りをもう一度考えていただいて、再考いただいて、観光客の利便性、安全性向上のために、安全な動線を確保する方策として、歩道橋あるいは地下道の整備をお願いしたいと考えますが、もう一度、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。後ほどで結構でございます。 次に、がん対策についてでありますが、荒井知事のリーダーシップによりまして、がん死亡率が大きく、この16年で低下したことというのは、本当に誇らしいことでございますし、素晴らしいことだと思っております。がん検診の受診率の向上が、がん死亡率のさらなる低減、健康寿命日本一の達成につながると考えますので、ぜひ進めていただきたい。目標は50%に、当面は50%なのでしょうけれども、全国平均を超えて、全国一番の受診率を達成できるように引き続きお願いをしたいと思います。また、小児・AYA世代のがん患者等への支援についても拡充していただいております。引き続き取組をよろしくお願いを申し上げます。 次に、県が管理する道路の維持管理のさらなる充実についてでありますけれども、今後も道路の維持管理に係る予算の確保と、適切かつ迅速な対応を強く要望しておきたいと思います。 5番目に質問いたしました、自転車が関係する交通事故の抑止対策についてでございます。この自転車安全利用五則を理解して、自転車利用者が交通ルールを正しく守れるよう、引き続きのご努力をお願いしたいと思っておりますし、奈良県は観光地でございますので、例えば、外国人向けの多言語のパンフレットでございますとか、あるいは啓発の動画、これは外国人向け、日本人向け両方と思いますが、ご用意いただければ、観光客も安全にレンタサイクルなどを利用して観光周遊できると思いますので、ぜひご検討いただけたらと思います。 また、先ほど警察本部長からご答弁ありましたように、取組の中で、自転車が安全に走行できる通行空間の整備が必要だと、ご認識をなさっているとご答弁の中でございました。これは1つ戻りますけれども、県土マネジメント部長におかれましては、自転車は原則として車道を走ることになっておりますので、安全かつ快適に走行できるよう、先ほどお願いしましたように、道路の維持管理の範疇だと思いますので、ぜひ、より一層ご配慮いただいて、適切な対応をお願いしておきたいと思います。では知事、よろしくお願いいたします。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 平城宮跡南側地区をどうするかというテーマのご質問でございますが、実は平城宮跡全体をどのようにするかというアイデアの中で、南側をどうするかということを考えたほうがいいかと。南側には奈良市役所をどうかということで、水を向けた経緯があるのですけれども、お断りになりましたので、逆に広い空間が確保できて、今となってはよかった面もあるのかと思っております。 その全体の中、国営公園になって、北側は100%国が出してくれて、この南側地区でも5割国が補助、このような公園は全国にありませんので、垂涎の的になっています。20年前に国営公園にした後、1つも国営公園になっていないのです。これはほとんど最終の国営公園、これが完成すれば、次出るかもしれませんが、この場所で大変大きな予算を取っておりますので、ストップしようというお計らいが国にはございます。大変ありがたい国営、それだけの値打ちがあるということでございます。それを、やはりいい公園にしていきたいと思っております。 池田議員お述べになりましたように、大変広いわけでございますので、昔は大宮通りは二条大路でありましたが、昔は自動車が走っていなかったので、相当悠々とした通りでございましたが、今は自動車が走るのを、どういう横断の仕組みにするかということから、いろいろ考えなければいけないと。それともう一つ、答弁で触れておりませんが、天平小路というのをできたらと思って、それは、南側のちょうど真ん中に、東西に昔の商店街、住む人の買い物とか、憩いの小路があったところを想定いたしまして、南側だけではなく東側に、この小路が延びるようにと、そこは、いろいろな買物、天平の雰囲気が出るような、買物、憩いの、現在でいうとカフェとか、お茶を飲むとか、人と話をする空間ができたらと考えております。 それと朱雀大路が、今、西だけでございますけれども、北のほうも、まず東をつくって西を造ったわけでございまして、南のほうは、西をつくって、また東に延びればというような構想も可能でございます。そのように、これからまだまだ、アイデアが伸びる地域でございますので、今年度につくる整備計画も、これで最終ということではなしに、将来、天平の雰囲気、歴史的な雰囲気が漂うようなアイデアを盛り込めたらと。地元の方との、自治会等との調整、あるいは協議が要ると思いますけれども、このような空間は世界的にもない、現地が都だったということは全くない空間でございますので、それを大事にして、往時をしのばせるような、広大な敷地がある平城宮跡、当時をしのばせる空間として、また、それを来訪者あるいは市民の方が楽しめる空間としていけたらと思っています。整備計画はその一里塚のように位置づけて、将来に思いが伸びるような整備計画にできたらと思っています。 横断歩道1つにとっても課題がまだ残っておりますし、近鉄の移設、また、その駅の造り方もまだまだ課題がございますけれども、それを視野に入れながら、知恵を出して、関係者と調整を図るということをしていきたいと思います。大変、夢が乗せられる空間でございます。ぜひ、議員方のご理解とアイデアを乗せていって、国のご支援を賜りながら、整備ができたらという思いでございます。今後ともよろしくお願いしたいと思います。 ○副議長(西川均) 11番池田慎久議員。 ◆11番(池田慎久) 知事、ありがとうございます。平城宮跡の整備、まだまだこれから充実をするということでございます。やはり一体的に、来られる方が、繰り返しになりますけれども、安全に、利便性よく、高く利用していただけるように祈っておりますので、ぜひ、知事のリーダーシップを発揮していただいて進めていただきたいと思います。終わります。 ○副議長(西川均) 次に、26番山村幸穂議員に発言を許します。--26番山村幸穂議員。(拍手) ◆26番(山村幸穂) (登壇)皆さん、こんにちは。日本共産党の山村幸穂です。 今日、12月8日は、おびただしい犠牲を生んだ太平洋戦争の開戦日です。今また、岸田政権は、敵基地攻撃能力の保有を戦後初めて掲げ、大軍拡を推進、国民の暮らしを押しつぶす大増税へ突き進もうとしています。太平洋戦争の痛ましい犠牲の上に、二度と戦争をしないと誓った日本国憲法を踏みにじる暴挙は許せません。平和外交にあらゆる力を尽くし、戦争は起こさせない、東アジアを平和の地域にするためにも、日本共産党は全力を尽くす決意です。 それでは、質問に入ります。 まず初めに、ゼロカーボンに向けた取組について伺います。 近年、記録的な猛暑や頻発する豪雨・台風災害によって多くの犠牲者が発生し、暮らしや経済に大打撃となっています。気候変動は地球と人類の生存にとって差し迫った課題であり、危機の打開は、子どもたちと若者の未来への責任です。危機感を持った取組が必要です。気候変動に世界全体で対応する国際的な枠組みであるパリ協定の締約国会議では、強い危機感を持って、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることを共通の目標としました。気候変動に関する政府間パネル1.5度特別報告書で、世界の気温上昇は、既に1度に達しており、温暖化を1.5度に抑えるためには、人為起源のCO2排出量を2050年までに実質ゼロにする必要があるとしています。そのためには、2030年までの最初の10年の取組が決定的だと強調され、世界全体で、2030年までに、2010年比で45%のCO2削減を実現しなくてはならないと確認されています。しかし、日本政府の目標は、2010年比で42%と低い目標であり、いまだに火力発電を続ける計画で世界から批判されています。脱炭素、省エネ、再エネを進めるには、電力・産業・運輸・都市・住宅などのあらゆる分野での改革が必要です。我慢するのではなく、暮らし方をよくする改革です。 全国で最初にゼロカーボン宣言を行った長野県では、2030年のCO2削減目標は、13年比で57%と意欲的です。太陽光・小水力発電を中心に、再エネの生産を拡大し、小水力発電では全国1位、世帯当たり太陽光発電設備普及率は2位、CO2排出量の削減率は4位とのこと。エネルギーの地産地消の取組で、県内企業が施工に関わって、地域経済の活性化や必要な人材の確保で、雇用が増える効果があらわれていると聞いています。奈良県でも、脱炭素の取組が、経済と環境の好循環を推進することになる、この位置づけをして県民にアピールすることが必要ではないでしょうか。 10代の高校生が、「気候危機がこのまま続くなら自分の未来が絶望的に思えました。」と訴え、「台風被災地へのボランティア支援にも行って、気候危機打開の勉強をしています。エネルギーに関する政策決定の会議に若者の参加を。」と求めています。未来に生きる若者が希望を持てるように、真剣に応えなくてはなりません。 そこで知事に伺います。 県では、2050年までに二酸化炭素等の温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すと宣言しています。しかし、2030年までの目標は、国の目標とほぼ同じであり、より積極的な目標を掲げ、県の姿勢をアピールして、県民や企業、各種団体と危機感を共有し、温室効果ガス排出削減の取組を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、コロナ禍からの復興にあたり、環境に配慮した回復を目指す景気刺激策である、グリーンリカバリーというアプローチが世界的に注目されており、我が国でも多くの企業において取り組まれていますが、本県でもこのような動きを経済再生に生かすために、企業における環境に配慮した新技術の開発や、事業活動における脱炭素化の促進等への支援を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。ご所見を伺います。 次に、近鉄奈良線の移設について伺います。 踏切の渋滞対策として、平城宮跡内の近鉄線を移設する案が検討されています。発表されている計画図によると、近鉄大和西大寺駅から、現在の線路を南に移設して、大宮通りの地下を通過する計画となっています。図をご覧ください。 どのようなルート、形状になるかは今後の検討によるものと考えられますが、地下を通すとなれば、世界遺産に認定された平城宮跡の木簡など、埋蔵文化材に影響を与える危険性が高いと言わねばなりません。いうまでもなく、平城宮跡の地下埋蔵文化財は、豊富な地下水によって、元の姿のままで1300年にわたって保存されてきたものです。長年にわたる調査研究を受けて、2017年には平城宮跡出土木簡3,184点が国宝に指定されています。平城宮跡周辺における木簡は、代表的なものだけでも、長屋王木簡が約3万5,000点、二条大路木簡が約7万4,000点発掘されています。大宮通り沿いの特別史跡、平城京左京三条二坊宮跡庭園は、平城宮の離宮的な施設とも考えられているもので、地下の浅いところから発掘され、奈良市が復元整備を行いました。奈良市教育委員会は、この宮跡庭園は、長期間土に埋まっていたために保存状態もよく、当時の意匠や作庭技法などを知ることができる極めて貴重な遺跡ですと説明しています。鉄道の移設工事で、平城宮跡周辺に地下トンネルを掘ることは、このような貴重な木簡や遺構を保存する土を半ば永久に剥ぎ取り、水の流れを変え、埋蔵文化財を消失させる危険があるのではないでしょうか。 既に事業認可されて整備が進められている京奈和自動車道大和北道路は、多くの県民から、平城宮跡の地下埋蔵文化財に影響を及ぼす恐れがあると反対の運動が取り組まれました。国土交通省も地下水検討委員会を設置して、地下水位のモニタリングを続けております。 また、平城宮跡周辺の近鉄線の踏切道8か所の渋滞対策が必要ということですが、これら8か所はそれぞれ渋滞の状況が異なっています。開かずの踏切となっている渋滞対策が緊急に求められているところもありますが、改良の必要度から見ても、平城宮跡内の踏切は、現状としては基準値を超えているものの、その差は大きくありません。 この先、人口の減少や自動車運転者の減少などを考えれば、あと20年先には渋滞が発生しない可能性もあります。多額の費用負担をして、移設、地下化が必要なのか検討が必要ではないでしょうか。 そこで知事に伺います。 近鉄奈良線の移設に係る踏切道改良計画について、知事は、工事に伴い広範囲に影響が生じる可能性があり、地元住民をはじめとする関係者の理解と協力を得るため、事業の内容や周辺への影響について丁寧な説明を行っていくとされましたが、これまでどのような説明を行ってこられたのでしょうか。 次に、子どもの医療費助成制度について伺います。 子どもの医療費助成制度は、子育て世帯の経済的負担軽減、貧困家庭への支援として、長年の住民運動により拡充されてきました。現在、県の市町村への補助基準では中学校卒業までが対象となっています。また、就学前までは現物給付の制度になりました。奈良市では来年度、中学卒業までを現物給付にして、一旦立替払いをなくす準備をしています。子育て世代の皆さんからは、月末お金がないときに、子どもが急病になるととても困る、財布の中身を見て受診できないこともあると窮状を訴えられ、窓口無料にしてほしいと強く要望されています。 医療費助成の対象年齢を18歳、高等学校卒業までとしている県は全国で5県、来年度、東京都、長崎県でも実現します。奈良県の市町村でも、香芝市、葛城市など9市町村で実施、来年度は天理市、生駒市、大和郡山市、奈良市でも実施予定、山添村は20歳までとしています。 中学校卒業までは低額になるように助成されていた医療費の自己負担が、高等学校になると医療保険の原則どおり3割になります。2019年に全国保険医団体連合会が、全国規模で学校歯科健診で異常を指摘された子どもがきちんと治療を受けているのかについてアンケート調査を実施したところ、57%が未受診でしたが、とりわけ高校生は80.4%が未受診と高くなっています。その原因として、経済的困難が挙げられています。 高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を養う大切な時期であり、みずからの健康をコントロールし、改善できるように支援することは重要です。政府は、現物給付方式にすれば、受診が増えて医療費が増加すると主張してペナルティをかけていますが、全国知事会をはじめ、政府の子育て支援の政策と矛盾していると、廃止を求める声が相次ぎ、就学前までのペナルティが廃止されました。引き続き声を上げていくとともに、子育て応援の大切な施策として、お金のあるなしで医療が受けられないなどにより、健康に格差が生じてはなりません。 そこで、医療・介護保険局長に伺います。 子育て世帯を応援するため、県として、子ども医療費助成制度の現物給付化と対象年齢の高校卒業までへの引上げを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、性暴力被害者サポートセンターの強化について伺います。 性暴力に遭われた方々に対し、中心的に支援を行うのが、性暴力被害者サポートセンターです。奈良県でも開設されて以来、様々な相談支援が行われ、相談件数も徐々に増加、多くの人に認知されてきたのではと思います。センターの支援は、電話相談・面談、緊急医療支援、心理的支援、警察との連携、裁判などに関する法的な支援、同行支援など、多岐にわたります。現実には、被害に遭っても声を上げられない、どこにも相談できないケースが多く、また、性暴力に遭う年齢層は未成年も多く、身近にセンターがあることは重要です。 相談支援に当たっていただいている相談員の皆さんは、会計年度任用職員としての採用で、毎年、雇用契約を更新せざるを得ない上、3年目以降は、新たに選考を受けなくてはならない仕組みです。専門職として研修も受け、継続して働くことでスキルを上げているにもかかわらず、昇給もなく、不安定な雇用です。被害を受けた方の支援では、相談に当たる側も精神的なダメージが大きく、つらい思いをすることもあると聞きます。被害者の今後の人生にも関わる深刻な相談に、親身に寄り添って、信頼される仕事をされている相談員の身分の安定を保障しなくてはなりません。 県では、現在3名の相談員がローテーションで業務を受け持ち、火曜日から土曜日まで、朝9時~夕方5時までの受付と、受付時間が大変限られています。これでは、いざというとき相談できないこともあり、間に合わないのではないでしょうか。被害を受けた方が、いつでもすぐに相談でき、証拠採取や緊急避妊などの処置を受けられることが重要であり、また気持ちが揺れ動くことがあっても、相談に行こうと思ったときに、いつでも受け付けてくれる体制が必要です。 この間、政府は、相談対応を24時間365日とすべきとして、空白となっている県の夜間などについて、国のコールセンターで電話相談を受け付けることになりました。今後においては、各県で体制をとることも求められています。 そこで、こども・女性局長に伺います。 性犯罪・性暴力による被害を受けた方が、いつでも安心して相談できる体制を確保するために、今後、県は性暴力被害者サポートセンターの強化に向けてどのように取り組まれるのでしょうか。 次に、包括的で科学的な根拠に基づいた性教育について伺います。 この間、世界でも日本でも勇気を持って性暴力被害を告発する運動が広がり、女性への暴力をなくす機運が高まっています。1994年、カイロ国際人口開発会議で採択された行動綱領リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)では、女性の基本的権利として、自分の体に関することを自分で決められる、性や生殖に関することに十分な情報と手段を得ることができる権利を、すべての人が生まれながらに持っていることが明記されています。 若い人たちが豊かな人間関係を築き、自分らしく生きられる社会を実現するためには、正しい性の知識と判断力を育む支援が必要です。 ユネスコは、各国の研究成果を踏まえ、WHO、国連合同エイズ計画、国連人口基金、ユニセフと共同して、性行為のリスクだけでなく、互いに尊重し合い、平等な人間関係を築いていくというポジティブな考え方で、包括的な性教育を推進するために、国際セクシュアリティ教育ガイダンスを発表しています。包括的性教育は、人権尊重とジェンダー平等、多様性を含む肯定的な価値観、安全で健康的な関係性を築くための態度やスキルを身につけることを目的にしています。 このユネスコのガイダンスでは、性交、避妊に関する科学的な情報など、重要な話題を無視して省略することは、スティグマや無知を引き起こし、助けを求めることをできなくする壁をつくり出すという問題を指摘しています。しかし日本では、学校で性交も避妊も教えることがタブー視されたままで、世界の中でも大変遅れた状況です。 昨年度から、文部科学省は性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないためとして、命の安全教育を実施しています。被害者は悪くないこと、自分の体を大切にすること、被害への対応など、大切な内容ではありますが、包括的性教育とは異なります。学習指導要領に、性交を教えることを事実上禁止する規定がある中で、性交を教えないで性暴力だけを教える矛盾があります。子どもたちは、公教育で性や生殖についての科学的な知識や性に関わる人権意識を形成する機会もないままに、インターネット等で氾濫する暴力的でゆがんだ性の情報にさらされています。 性暴力はもちろん、予期せぬ妊娠を防ぐためにも、ユネスコの包括的性教育のガイダンスを生かし、子どもたちが発達段階に応じて、性に関する科学的な知識を得られるように包括的性教育を実践していくことが大事だと考えます。既に先進県では、産婦人科医や保健師、看護師など専門家と協力して研究会を立ち上げ、これまでの性教育を見直して、子どもの発達段階に応じた性教育を実践しています。専門家による性教育講座の開催や、教員に向けた性に関する指導者研修会の開催、PTAでも講演会や資料の配布による情報共有を行い、家庭での子どもとのコミュニケーションを行えるようにしているなど、学ぶべきことが多くあると思います。その際、現行の学習指導要領に縛られず、保健体育の授業でなく、総合の時間や、また、特別活動の時間を活用して、性教育に充てる工夫もされています。 そこで、教育長に伺います。 子どもを性暴力から守るとともに、お互いの性を尊重する人間関係を築けるよう、専門家や産婦人科医などの協力も得て、人権尊重やジェンダー平等、性の多様性の観点を含む包括的な性教育や、科学的な根拠に基づく発達段階に応じた性に関する正しい知識を身につけるための性教育を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上で壇上での質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)26番山村議員のご質問がございました。 私に対する最初のご質問でございますが、ゼロカーボンに向けた取組、積極的な目標を掲げるべきだという趣旨のご質問でございます。 脱炭素社会の実現は世界的に重要な課題でございます。政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを表明されております。本県もその実現に向けて積極的に努力しなければならないと認識しております。そのためには温室効果ガスの排出削減と、二酸化炭素吸収源整備の両面で取組を進める必要があると思います。具体的には、排出削減面でございますが、省エネ・節電等の推進、再生可能エネルギーの活用、次世代自動車の普及促進などでございます。吸収源整備面では、まず、健全な森林の整備、県産材の需要拡大を柱として取組を進めているところでございます。 これらの取組を加速させるためのモデル事業といたしまして、現在、県と磯城郡3町で協働して取り組んでおります大和平野中央田園都市構想エリアにおいて、電力の自給自足を目指すことを考えております。事業展開の方向としては、新たに整備する拠点施設において、省エネ性の高い構造を取り入れるとともに、再生可能エネルギー設備を導入し、周辺の公共施設等に電力を供給できる仕組みの構築を検討しております。検討にあたりましては、環境省が2030年度までに全国で100か所程度を選定し、重点的に支援するとしている脱炭素化のモデル地域「脱炭素先行地域」への応募も視野に入れたいと思っております。 脱炭素社会の構築は、長期の取組になりますが、引き続き市町村、事業者、県民の皆様等の多様な主体と連携・協働を図りながら進める必要があると考えております。 ゼロカーボンに向けた取組の中で、グリーンリカバリーについてのご質問がございました。 山村議員お述べのグリーンリカバリーは、企業の新たな省エネ・再エネ設備への投資を下支えし、化石燃料を使用する設備から再エネ設備への転換等も促進しながら、経済再生とともに持続可能な脱炭素社会の構築を目指す動きであると認識しております。 現在、エネルギー価格の高騰もあり、事業所ではエネルギー消費量の少ない設備への転換の機運が高まっております。県では、このような社会経済情勢を踏まえまして、事業者による省エネや再エネ設備の導入に対して支援を行うとともに、脱炭素化に関する新技術の開発等についても支援を行い、事業者の経営基盤強化と脱炭素化の進展につなげたいと考えております。省エネ・再エネ設備に対する支援につきましては、平成26年度から県単独事業により、LEDや高効率の空調設備等の導入を行う事業者に補助を行ってまいりました。昨年度までに50件の実績がございます。この事業補助について、本年6月補正予算において、国交付金を活用して補助率をこれまでの3分の1から3分の2に引き上げるとともに、補助上限額を倍増し、支援の拡充を図ったところでございます。 また、脱炭素化に関する新技術の開発に対する支援につきましては、県内産業の基盤強化と新産業の創出を目的としております奈良県研究開発支援補助金を活用されると、3年間で最大1億円を支援するスキームとなっております。 県といたしましては、このような支援メニューを用意して、事業者が脱炭素化の取組を積極的に実施されるよう働きかけ、その成果が、事業者の経営基盤強化とともに、本県における脱炭素社会の構築につながるよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。 近鉄奈良線の移設についてのご質問がございました。 大和西大寺駅及び平城宮跡周辺の8つの踏切が問題でございますが、遮断時間や自動車交通の遮断量といった指標に基づき、国から改良すべき踏切道として踏切道改良促進法による指定を受けております。大和西大寺駅高架化・近鉄奈良線移設事業は、これらの踏切を大和西大寺駅の高架化や線路移設により除却するものでございます。交通渋滞の解消はもちろん、踏切事故をなくすことで、安全性の抜本的な向上を図る大変重要なプロジェクトでございます。渋滞の解消と踏切事故の解消、2つの大きな目的がございます。 一方で、全国でも有数の複雑な構造を有する大和西大寺駅でございますので、その高架化を含むこの事業は、難度も高く、事業期間も長期に及ぶことが想定されます。このため以前の県議会でもご答弁申し上げましたとおり、事業の実施にあたりましては、地元住民の方々をはじめとする関係者の皆様のご理解とご協力を得ながら進めていくことが必要不可欠であると思っております。 現在、県、奈良市、近畿日本鉄道株式会社に加えまして、近畿地方整備局など国の機関にも参加していただく検討会において、まず、最も基本となる鉄道の線形や車庫移転の可能性などについて議論を行っているところでございます。どのような駅、また、線形にするかというのは、基本的なことでございます。これらの事項に関する検討を進める中で、山村議員ご指摘の線路の移設や高架化に伴い配慮すべき課題、それらに対する対応策についても、より明らかになってくると考えられます。こうした段階で、地元住民の方々をはじめとする関係者の皆様に対し、事業の具体的な内容や周辺への影響について、丁寧に説明を行っていきたいと考えております。私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 森川医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(森川東) (登壇)26番山村議員から、私には、子ども医療費助成制度の現物給付化と対象年齢の引上げについてお尋ねがございました。お答えします。 市町村が実施する子ども医療費助成制度は、子どもの健やかな成長と子育て世帯の負担軽減を目的として、昭和48年の制度創設以来、制度の充実が図られており、県はその2分の1を市町村に補助しております。現物給付による窓口無料化につきましては、現物給付方式を採用した場合、負担感の減少等に伴う受診回数の増加等により、医療費の増加が見込まれるため、一律に国民健康保険の国庫負担金が減額されることとなっておりました。しかし、平成30年度より未就学児までを対象に国民健康保険の減額調整措置が廃止されたため、県内市町村において検討が重ねられ、全市町村合意のもと、未就学児のみを対象として、現物給付方式を令和元年8月から導入したところでございます。 また、助成の対象は、各市町村のご判断で決めておられ、一部の市町村を除き、中学卒業までとされております。県の補助基準も中学卒業までとしております。これは、制度の目的と財政負担の調和の観点から、全市町村による検討と合意に基づき、平成28年8月から適用しているものでございます。 山村議員お述べのように、子ども医療費助成のすべてを現物給付方式とするとともに、対象を高校卒業まで拡充した場合には、医療費助成に係る市町村の財政負担が増加するだけでなく、国民健康保険の国庫負担金の減額や、さらなる医療費の増加により、国民健康保険の保険料の増加にもつながりかねないため、市町村において導入の適否について検討されてきたところでございます。 もとより、子ども医療費助成は、全国共通の課題である子育て支援、少子化対策に対応するためのものであることから、市町村の財政力によりその水準が左右されてしまう地方単独事業ではなく、全国一律の国の制度として実施されるべきものだと考えております。そこで、県では、これまでも全国知事会を通じて国に対し、子どもの医療費に関わる全国一律の制度創設を要請してきており、今後も引き続き求めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(西川均) 谷垣こども・女性局長。 ◎こども・女性局長(谷垣裕子) (登壇)私へは、性暴力被害者のサポートについてのご質問をいただきました。お答えさせていただきます。 性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり悪影響を及ぼす重大な人権侵害です。また、被害者が被害の届出や相談をちゅうちょするなど潜在化しやすく、性暴力の根絶を目指し、被害者の支援の取組を進めていくことは喫緊の課題と認識しております。 山村議員お述べの奈良県性暴力被害者支援センター(NARAハート)においては、被害直後から中長期にわたる心身の回復期まで、被害者一人ひとりに寄り添った相談支援を行っています。24時間365日、切れ目のない相談対応については、被害直後からの早期回復に向け、適切な支援に迅速につなげるためにも大変重要です。そこで、本センターでは昨年11月から国のコールセンターと連携し、休日や夜間にも対応できる体制を整えたところです。ですが、対応していない時間帯も一部あります。これまでの対応状況等も踏まえ、真に被害者支援につながる体制充実に向けて、今後、24時間365日の窓口体制を検討してまいります。 また、本年6月に施行されましたアダルトビデオ出演被害防止・救済法において、本センターが、出演した人等を守るための相談機関に位置づけられ、奈良弁護士会と連携した法律相談の実施や、その相談に要する費用の支援も行っているところです。加えて、被害者支援の質の向上を図るため、外部講師によるケースカンファレンスや勉強会などを実施し、相談員のスキルアップにも取り組んでいます。 今後、被害に遭われた方の気持ちに寄り添い、被害直後から切れ目なく、心身に受けた被害の軽減や早期回復に向け、支援ができるよう、本センターの機能の強化に努めてまいります。以上です。 ○副議長(西川均) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)26番山村議員のご質問にお答えいたします。私には、包括的で科学的な根拠に基づいた性教育についてのお尋ねでございます。 近年、インターネット上には性に関する情報が氾濫し、SNS等を介して子どもが性犯罪に巻き込まれることや、また、若年層のエイズ等性感染症や人工妊娠中絶が課題となる中で、性教育の在り方が問われていると思っております。特に性自認・性的指向等の子どもへの指導につきましては、正しい理解に基づいて、子ども一人ひとりの心情等に配慮した個別の支援が必要となります。 学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動をとれるようにすることを目的に実施され、保健体育科や特別活動等をはじめ、学校教育全体を通じて指導することとしております。また、指導にあたっては以下の4点、まず1点目は、発達の段階を踏まえること、2点目は、学校全体で共通理解を図ること、3点目は、保護者の理解を得ること、4点目は、事前に集団で一律に指導する内容と、個々の児童生徒の状況等に応じ個別に指導する内容を区別しておくなどに留意し、計画性を持って実施することが大切でございます。 県教育委員会では、平成17年3月に当時の保健体育課を中心に性教育の手引きを作成いたしました。しかし、この手引きには、国際的に広く認知・推進されている包括的性教育の概念、つまり性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、健康と幸福などを学ぶための概念が希薄であると感じております。包括的な性教育は、科学的根拠に基づき推進されるため、これまでの寝た子を起こすなといった抑制的性教育とは異なったアプローチでございます。保健体育課から健康・安全教育課と組織を変更した今年度から、性教育の手引きの改訂に取り組み、包括的性教育の第一歩を踏み出したいと考えています。以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) ご答弁いただきまして、ありがとうございます。いろいろ、いいことも悪いこともあるのですけれども。知事に最初にお伺いしたいと思うのですけれども、ゼロカーボンということで、積極的に取り組んでいきたいという趣旨であったと理解いたしました。 1点、目標についてですけれども、2010年比で、30年までの目標が、やはり国そのものが低いという大問題があると思うのですが、県としては、この目標を見直すというお考えがあるのかという点をお聞きしたいと思います。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 国が2050年でゼロカーボンを目指すということでございますので、県もそれに合わせております。大気は世界中同じでございますので、県だけで目標を進むことも遅れることもできませんので、全体に合わすというのが大事なことだと思います。日本だけでも合わす必要がありますし、できれば世界中を合わすことが必要だと思いますけれども、COP27で議論されましたのは、大気は地球を回っておりますので、全部協働して、100か国以上の国が協働してやろうということでございますので、その様子を見ながら県もそれに合わせていくということが大事だと思います。地域は地域でやることは当然ございますので、そのような点を怠りなくするという姿勢で努めていきたいと思っております。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 日本が世界から大きく遅れており、世界の足を引っ張っているという状況があるということから、私は率先して、より高い目標で頑張っていくということが地域の役割だと思っています。 次に、平城宮跡内の鉄道移設の問題についてお聞きしたいと思います。 私は、渋滞が著しい大和西大寺駅周辺の踏切道の改良というのは、早く実施すべきだと思っていますし、提案されているような高架化も有効な手段だと思っています。しかし、平城宮跡内の踏切については、それとは分けて考えていっていただきたいと思っています。といいますのも、やはりその計画によりますと、地下を通る案ということになっておりますので、地下水に守られている地下の埋蔵文化財、これが、やはりトンネルを掘るということで影響を受ける可能性があると思うのです。このことについて、県としてはどのような調査を実施されていくのか、いるのか、そのことについてお聞きしたいと思います。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 踏切道改良促進法は、踏切はどこにあっても安全性に、人命に関わることでございますので、別に考えるということは考えておりません。どうぞ、国にお考えを言っていただければと思います。国の踏切道改良促進法は、それぞれの設置場所に応じて、その基準を変えるということはしておりませんので、そのような、中だから変えるということはよく分かりません。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) それは国が決めることなので、国に言ってくれということですが、私ももちろん国にも申入れさせていただきますし、これまでも申し入れております。 安全ということで言いますと、平城宮跡内の踏切道、国土交通省の踏切カルテというのも見ましたけれども、過去5年間事故は起きていないという状況ですし、確かに渋滞の基準値という点で少し超えています。大幅に超えているということとかなり状況が違うと認識しております。私は、なぜ別にしてほしいと言っているのかというのは、やはりこの地下の正倉院と言われる、木簡に残る文字情報から1300年前の当時の国家、あるいは当時の社会の様子、そういうものを本当にまざまざと感じることができる重要な遺構、遺跡があるということで、これを消失させるようなことは、国の事業であっても、県の事業であっても、やはりやってはならないと思っておりますし、保存するために本当に必要な調査や、保存するためにどういう対策をしていくのかということが重要だと考えているという立場です。知事は、そのことについての懸念はないと思っておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 全く違う考えでおります。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 全く違うということは、懸念がないと思っていらっしゃるということですか。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 木簡よりも人の命のほうが大事だと思います。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 人の命も大切だと思っています。人の命を粗末にするような計画をやれと私たちは言っているわけではありません。別に考えて、対策をもっとほかに考えることがあるのではないのですかということを言っています。そのこととともに、地下の埋蔵文化財が、なぜここまで、1300年前のものが残ってきたのか。これは国の平城宮いざない館でも展示がありましたけれども、残った奇跡、残した奇跡ということで、奇跡的に残っていた、それを人の力で守ってきた、そのことによって国民的な財産になったということで、この価値が非常に大事だということで、それを後世に伝えていくというのは、今生きている現代の私たちが本当に真剣に考えていかなくてはいけないことだと思っているのですけれども、それを消失させてもいいと知事は思っていらっしゃるのですか。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 木簡があるから踏切があってもいい、人命にリスクがあってもいいという考え方自身がよく分かりません。木簡は木簡、人命は人命でありますので、それを改良しろという国の法律でございますので、法律のとおりするのが私どもの役目でございます。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 改良するななどということは全然言っていません。私は改良の方法があるでしょうということを言っているのです。移設して、地下に掘るというふうな改良のやり方ではない方法だってあります。そのことを申し上げています。どちらかしか選べないではなくて、本当に大事なものをどうやって残していくのか、人間が自分たちの活動のために、自然や、遺産や、そういうものをどんどん壊してってもいいということになりましたらですね、やっぱりこの世界の平和や安全や自然が守れないことになってしまいます。そこをどうやってうまく残しながら改良を進めていくのかということが問われているのではないかと思うのですけれども、そういうことで、いろいろな知恵を尽くすということが大事なのではないでしょうかと私は思いますが。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 具体的な改良の方法をおっしゃっていただければ議論ができると思います。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 今、この工事の計画を始めて、実際に出来上がるまでに、時間は約40年かかると言われています。それだけの先のことを、遠い将来、交通事情がどうなるかっていうことも全く今は判断できない状況だと言わねばならないと思っています。だから、改良の方法としても、例えば拡幅をする方法もあるし、迂回路をつくる方法もあるし、いろいろなやり方を考えることができると思っています。その間にですよ。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 40年たつと踏切はあってもいいよというのは楽観的過ぎると思います。そんな保証はできないでしょう。そんな気楽なことをおっしゃっていては、我々政治家の責任が取れないと思います。 ○副議長(西川均) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 気楽なことを言っているのではなくて、実際に工事を計画して、これをやるのに40年かかるということですやんか。何も気楽ではなくて、そういうことですということを申し上げております。 私は、平城宮跡の価値が、世界遺産にもなりましたけれども、本当に人類の宝と言えるようなもので、ここまで研究も重ねてきたという状況がある中で、40年という時間がどういうことになるかっていうのは想像がつきませんけれども、例えばその時点で発掘の技術も進歩しているし、物の状況が分かる方法も変わっているかもしれない、と同時に、工事の技術も今とは全然違う進歩をしているし、また、交通の事情も、今のような自動車の通行という形ではない状況も生まれているということだってあり得ると思っていますので、本当に、どのような対策をするのかということについて、急いで、ここも全部一緒に地下にしてしまえというふうなやり方ではなく、そこの大事さを考えて慎重に取り扱っていくということがいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。 ということで、国の言っていることだから仕方がないと知事が言っておられますけれども、奈良県のこの大事な遺跡を守っていく責任は知事にもあると思いますし、私たちにもあると思っていますので、引き続きこの点についてはしっかりと議論して、守っていくことができるように頑張りたいと思います。 以上、申し上げて、質問を終わります。   -------------------------------- ○副議長(西川均) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(西川均) お諮りします。5番山中益敏議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(西川均) それでは、さように決し、明、12月9日の日程は当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後4時21分散会...